日時 2024.4.21
山域 表丹沢 四十八瀬川 勘七ノ沢(1級上)
文責 辻
目的 上級生のリード練習。W1の沢トレ。
メンバー CL:辻(W3)、SL:長尾(W3)、医療:滝澤(W1)、顧問:藤田(W3)
天気 晴れ。水量普通。気温は高めだった。
地図資料 遡行図 「東京起点沢登りルート100」
25000分の1地形図 「」
山と高原地図 「丹沢」
電波 丹沢県民の森は通じた。沢中未確認
コースタイム
県民の森駐車場(6:10)-0:25-入渓点(6:35)-0:15-F1下(6:50)-0:30-F1上(7:20)-1:00-F2の堰堤上(8:20)-0:20-F3上(8:40)-0:40-F4上(9:20)-0:40-F5下(10:00)-1:10-F5上(11:10)-0:30-ゴルジュ帯上(11:40)-0:40-登山道合流(12:20~12:30)-0:15-堀山の家(12:45)-0:40-入渓点(13:25)-0:20-県民の森駐車場(13:45)
合計7:35【沢中5:55】
※注意!↓
本遡行は4年生主体のトレーニング山行として行ったため、部内の標準ペースよりも相当速いと思われます。特にリードビレイ⇒後続確保による対処をF1,F2,F5の3度行ったため、これに不慣れであると大幅なタイム超過が見込まれます。新規にコースタイムを設定する際には2023年の記録なども参考にし、参加メンバーの実力に見合ったタイム設定を行ってください。
言うまでもなく、事前に十分なロープワークチェックを行うことを推奨します。
コース記録(YAMAP)
【詳細】
新年度の初沢として実施した。勘七ノ沢は初・中級の登攀系として知られており、今回は主にリードクライミングの実践を目的として計画した。直近の記録(2021年、2023年)ではいずれも設定コースタイムを超過していたため、上級生の実力を測る意味合いもあった。
当日は3時頃国立を出発、下道を運転して5時半頃丹沢県民の森駐車場に到着。今回はこの時点で全員沢装を装着し、6時過ぎに行動を開始した。
以下、遡行中の対処について順に記述する。
入渓まで:県民の森駐車場から林道を歩き、30分ほどで入渓。
・入渓後の堰堤8m
トポ図の通り右岸から越える。残置ロープはあったが、若干スリリングだった気がする。
・F1(7m)
左壁を直登。今回はSLビレイのもとCLが空身リードで登り、自分の荷物を引っ張り上げたあと後続を確保した。途中支点が取れないためリードビレイをする意味はないが、空身で登って後続を確保するためにこの形をとった。支点は滝上のボルト2本から流動分散をとった。分かりやすい。
内容としては、ホールドが逆層になっているので足が置きにくい。序盤がミソ。文責者では空身でないとフリーでは登れなかったと感じたが、対処の仕方は各人現地で判断してほしい。
・F2(6m)
右壁をCLがリードで登り、後続を確保した。今回は空身ではない。支点は右壁上の立木からパワーロープで延長して構築した。立木は分かりやすいと思う。
内容は特に難しくないが、高度感があるのでロープは出したい。中盤のテラスから少し上あたりに残置ハーケンがあるのでここで一つだけ途中支点をとった。終盤で思い切った動きが出来るのでリードであれば気が楽。セカンドがヌンチャクを回収した。
・堰堤2
たしか左岸巻き
・F3(釜あり7m)
釜を右からへつって右壁に取り付き、そのまま右壁を直登した。右壁ではCLが直登したのち、岩か何かで支点をとってパワーロープを出した記憶がある。
釜のへつりは腰まで浸かる必要があったように思う。増水時は注意したい。右壁は結構ナメった岩で滑るので、CLもドボン覚悟で無理やり登った。ナメに不慣れな下級生だと少し難しいと感じたためパワーロープを出した。
・F4(2段 2m+10m)
一段目は容易だが、二段目下の釜で水しぶきを受けるため結構威圧感がある。二段目は残置ロープを利用して釜左岸をトラバースし、そのまま左岸のチムニー状を直登した。チムニー状の上部にも残置ロープがあった。
登り終えてから残置ロープ支点を確認すると、錆び錆びのハーケン2本でかつ分散が正しく行われていなかった(ADT状態)。ごぼうで登れてしまったので何とも言えないが、心配ならトップがロープを降ろしてそっちを手に取らせた方がいいかもしれない。なお滝下で待機する余裕はないのでビレイ確保はオススメしない。
・堤防3~7
すべて左岸を巻いた気がする。違ったかもしれない。覚えてない。
・F5(12m)
右岸の看板下のテラスから取り付いて、左壁をトップが空身でリード直登。以下後続を確保した。
途中支点は残置ハーケンから3つほどとれるが、落口までの2mほどは残置がないので怖いと思い、ハーケンを打って途中支点を得た。…が、不慣れなハーケン使用なだけにアゴまでキチンと打ち切れなかったため、意味があったかは微妙。正直空身なら思い切ってさっさと登ってしまった方が安全だったかもしれない。もしハーケンを持っていくなら、硬い石質で刺さりにくいため、短いクロモリ製の物を使用するとよい。
確保支点は残置ボルトと右岸の立木から延長したパワーロープとで分散支点をとった記憶がある。残置ボルトはかなり古く、心許なかったように思う。このとき新規にハーケンを打ち込むことも試みたが、やはりあまり上手く刺さらなかった。
巻き道は未確認。簡単な巻きじゃないと思う。
・ゴルジュ帯
すべて直登。それなりに楽しかった気がする。
・ツメ
適当なところで大倉尾根に乗っかる。短いツメ。特に言うこともないのでGPS記録を参照してほしい。
・下山
1時間くらいの下山。歩きやすいので沢靴のままでも十分下山できる。
【総評】
近年のワンゲルがことごとく苦戦していた沢だったので、かなりよいペースで登れて大変満足だった。特にCL辻、SL長尾はリードでの登攀・ビレイに関してかなり成長が見られたと思う。滝澤くんもあまり苦戦せずスムーズに登ってくれたので気が楽だった。緑茶先輩はいつも通りだったので感謝。
沢の難易度としては、登攀難度はそこまで高くはないもののいずれも高度感があり、下級生はロープ確保を要する場面が多い。ロープワークの熟練度によってコースタイムは大きく左右されると思う。とはいえ確保支点などで困ることもなく、登攀ルートも明らかなので、やはり初~中級者向け・練習用の1級上という立ち位置ではなかろうか。
十分にロープワークが身についているパーティであれば、ぜひ腕試しと思ってチャレンジしてみてほしい。