入渓まで 戸沢山荘の上を通る林道を奥へ進むと、途中で休憩所と丹沢臨時警備所が併設された建物がある。ここで登山届を提出。林道が切れると戸沢が右から出合い道路上を沢が横切っている。その先の水無川に掛かる鉄の橋を渡ると仕事道。そしてこの先、本谷山荘に出るところで道は右にカーブし、その先の小さな広場の右に「書策新道」の標識がある。水無川を左に見ながら歩いていくと、川が二つに分かれているのが見える。この右側が水無川で、左が目的の源次郎沢だ。さらに仕事道を歩くと、源次郎沢の一つ目の堰堤に当り、この堰堤の前で対岸に渡り堰堤の右に造られたコンクリート製の立派な階段を登る。この先を右に水無川を見て歩くとすぐに分岐になり「源次郎沢入り口、本谷F5近道」の書策新道へ入る看板がある。この書策新道へ左折して登るとすぐに、「源次郎沢入口」の看板がある。ここを左へ降りればすぐ沢だ。そしてなぜかこちらには“立入禁止の黄色テープ”がはってあった。特に問題なさそうだったが、この先の堰堤2つをショートカットできるもう一つの道が気になったのでそちらから入渓。この道は看板から書策新道をさらに2~3分登り、新道が左の沢にかなり近く寄った場所で沢へ降りる。斜面がすこし急だが問題ない。詳しく書いたが、どちらから入渓するかは好き好きだ。
F1 水量というよりも流れ自体が強く、本来シャワークライムで突破できそうな右側は渋めだったので左から。もう少し左の壁からも突破できるし、こちらは全く水に濡れなくて済むが、すこし高めに登ることになる。 F2(5,4,5m) 1、 2段目は記述するのも恥ずかしいくらいに問題ない。右から。 3段目も“F2”の看板のかかっている左から行けば問題ない。今回は全員左からだったが、水の落ちている右も1年生がいなければやってみるのもおもしろそうだった。 F3(2段4m) クラック状になっている。ここでの水線突破は難しい。壁付近まで近付いて、右壁を登り、落ち口まで低い位置でトラバース。
3段7m ここは本当に注意して欲しい。下からだと、滝へすこし1段あがってそこから右側を登りたくなるがダメ。どんどん上まで上がって行き、かなり高度を上げることになるし、足場も滑りやすく危険だ。各種ネット資料にも記載されているので事前に分っていたはずなのにトップは右から行きたくなった。それくらい、下からだと右が正解のように見えてしまうのだ。正解は滝を少し戻って左壁だ。新人がいる場合には途中に残置支点があるのでPWRを出すのがベター。
F4(10m大滝) 全員左巻き。リッジ下に残置スリングがあり、そこから左壁を登って、オーバーハングしている岩を左方向へくぐり、そのまま右へ回り込む。本来イメージする“巻き”と異なって恐怖感の微塵もない。巻くように越えるという方がただし表現のようだ。しかし、疑問が残るのが直登に関してだ。ルートはネット資料にあるとおり、左の大岩下のリッジから登り、上部で水流のある右へ回り込んで突破、でよさそうだが。確保するためのよい支点が見当たらない。落ち口からかなり遠い所に残置ボルトがあるが、ここから確保しても登攀者が見えないし、ザイルダウンも不安だ。事実、農工大ワンゲルさんも我々と同じように支点が見つからなかったという記録を残している。ただ、その記録を上回って確保した記録が存在する(どこを支点にしてるのかは記述していないところがウテない)。ここの謎に関しては次回パーティに引き継ぐことにする。
F5(5m) 全員左巻き。滝からすこし戻った所に明瞭な巻き道の入り口がある。まず階段状の岩を2~3mほど直上し、そこからトラバース。落ち口に差し掛かると、足場が外に傾いて悪い箇所が出てくる。ここにはルート上に3か所人工支点があるので。フィックスロープを張るのがよい。高度があって怖いが、ホールドはかなりしっかりしているので慎重に進もう。
その先の二俣前後で急に水が枯れ始める。ここで水を汲んでおこう。
F6(4mCS) 左から登って、ハングしているCSをくぐって滝上へ。ザックが邪魔で動きづらいが問題ない。
チムニー5m 直登だが、最後右へ逃げるところでの体重移動、スタンスの置き方がやや難しい。チムニー手前の右からも越えられる。 チムニー4m 問題ない直登。そしてもっと問題のない右壁もある。今回はトレーニング的な意味やらチムニーをみるめずらしさ的な意味でテンションも上がり、わざわざ直登。
ここから、本沢トレ最大の山場であり、謎にはいる。沢に忠実に詰めあがったのにF9CSがみつからない。いつのまに詰めは開始していたのだろうか。気づけば、必死になって「ラック」と叫びまくるパーティ。こんな人気ルートがこれほどまでに危険で崩れた場所だなんて信じられるだろうか。CSがラックしてF9は消滅したとしか考えられない。ばくだん岩がメガンテを唱えたかゴローンがじばくしたんだよきっと。もはやチムニー以降が核心まである。 とにかくかなり足場の悪いガレを落石に細心の注意を払いつつゼンツして、謎の尾根にのってゼンツしたら大倉尾根に着きました。花立山荘の少し下に出たのでたぶんチムニーの後、左へ左へと行きすぎたのかもしれない。次回パーティはこの謎も解いてきて下さい。
CL感想 初沢だったために、F3上の4m滝や、F5のトラバースなどヒヤっとする箇所が多くあったが、1度対処を知ってしまうと体感レベルはかなり下がってしまうかなと感じた。とはいえ、沢初めには少し厳しめだろう。沢トレのはじめの方ぐらいに使えればちょうどよいのではないだろうか。あと車アプローチがかなりの威力を発揮する沢である。伝令を行う際だが、必ずしもF5で切る必要はないように感じた。そのくらいツメはだるいし、F5の巻きもよく踏まれて整備されている。我々以外の遡行パーティは2組いた。携帯電話について、ソフトバンクは沢中ほぼ全域で圏内。花立でももちろん通じる。ドコモは未確認。今回、ヒルの被害者が多かった。対策のしようがないが、とりあえず情報だけ残しておきます。
|