巻機山(ニセ巻直下まで)
日時 2024.3.3
山域 巻機山
文責 辻
メンバー CL:辻(W3)、SL:山口(W3)、医療:生田(W1)、前日発食当:前川(W2)
天気 快晴、積雪量少(2日前に20cmの積雪、しかしそれまで融雪が進みニセ巻直下で例年の-100cmほど) ⇒気象庁より湯沢で積雪12cm
雪質 前日の降雪によりなかなかのパウダー。しかし重めのストップスノーで板が回らない。
地図資料 25000分の1地図「巻機山」
山スキールート212「巻機山」井戸尾根ルート
コースタイム
威守松小屋(6:45)-1:05-1000m井戸壁取付(7:50)-1:20-五合目井戸壁上(9:10)-1:40-ニセ巻機山直下(10:50~11:30)-0:30-五合目井戸壁上(12:00)-0:20-1000m井戸壁取付(12:20)-0:50-威守松小屋(13:10)
合計5:45
コース記録(YAMAP)
【詳細】
当初白馬乗鞍岳での宿泊を予定していた週末だったが、前日の大量降雪により雪崩リスクが高く、また20m級の強風になる予報だったためいつもの山小屋泊で巻機山に登った。前日の連絡で駐車場を貸していただいた泉屋旅館さんに感謝。
前日3月2日15:40頃山小屋着、裏手の斜面で雪上訓練を実施する。内容はロープワーク中心にスノーボラードによる懸垂下降、各種デッドマンとムンターヒッチによる雪上ビレイ、雪柱を切り出してのピットテストなど。
日の入りまで訓練し、あとは夕食&宴会。前川のぺミカンビーフストロガノフは絶品だった。そういえばお隣の学芸大学登高会OBの方が水と宴会用の日本酒を分けてくださったので今度お礼を言わねば。
当日は5:30に起きて朝食&準備。かぐら谷川地域のアルパインエリアで雪崩危険度3との予報だったが、森林限界では危険度2、樹林帯では危険度1とのことだったのでニセ巻直下までという形で実施した。
井戸壁直下までは尾根上の登山道沿いのトレースに従って進む。このあたりから2パーティとすれ違う、相変わらず人気の山だ。後ほど両パーティに抜き返されたわけだが。
標高1000mあたりから一段と斜度が上がって井戸壁に取り付く。登山道沿いは特に斜度がキツいのでクライマーズレフト寄りをキックステップの連続で登る。が、今回は直前に降雪があったために雪崩気味で恐ろしかった。またW1生田のシールがやたら効きが悪く苦戦していたためトレースよりもスイッチバックを緩くしたことで前回よりも時間がかかる。彼は何度も後ろにずり落ちて山口君のサポートを受けていた。辻は前日の暴食がたたって腹が爆発しそうでとても苦しかった。死ぬかと思った。出るかと思った。
五合目からはしばらく尾根線に沿って歩き、ニセ巻直下を真っ直ぐ目指す。トレースに沿っていると自然と登山道をショートカットする形になる。途中急斜面を挟むが、井戸壁を乗り越えられたならなんということはない。
この途中雪に深く刺した拍子に生田のストックのバスケットが外れるが、なんとか掘り出した。交換したときに根元まで差せなかったため外れてしまったのだが、こればっかりは取り付けが固すぎて仕方ない気がする。その他は特に何もなく樹林帯を突破。
樹林帯を抜けると目の前にニセ巻機山が堂々と現れる。背後には上信越の山々の眺望が見えるようになり、思わず感嘆の声を上げる。二年ぶりにここまで来たが息を吞むほど壮大な景色だ。特に危険のないなだらかな雪原のため急斜面直下まで登りきる。
上述したがこのあたりは2年前には見えていなかった立木が見えるほどに積雪が下がっていた。周りはスキーヤーだらけだったが、米子沢を滑れる状況ではないだろう。残念なことだ。
生田はすっかり疲弊したようで着くなりペタンと転んで死んだような顔をしていた。写真撮影など含め40分ほど休憩&滑走準備。
次々登ってくるスキーヤーを尻目に滑走スタート。しばらくはゲレンデ状の楽しい滑走斜面だが、すぐに樹林帯に入る。楽しいとは言ってもストップスノーで全く板は回せなかったが。
五合目まではそこそこ樹間の詰まったツリーラン。ちょくちょくグッと樹間が狭くなるポイントがあるので調子には乗れない。それでも皆スムーズに樹をかわしターンを挟みながら五合目まで降る。前述の通りのストップスノーだったため辻も常時ボーゲンでスピードを落としながら滑った。
核心の井戸壁の降りは当初比較的斜度の緩い(緩くはない)スキーヤーズライト側の斜面を滑るつもりだったが、樹間が薄いかと途中でスキーヤーズレフト側の急斜面に入ってしまい、恐ろしい思いをした。常に樹間がギチギチに詰まっておりターンしようがないので、一人ずつ斜滑降⇒キックターンの連続で突破した。ちょくちょく後続3人がブレーキ出来ずブッシュに突っ込むので痛そうだった。早めのブレーキを心がけたい。登りでスキーヤーズライト斜面に滑走トレースがあったので、やはりそちらを降るのが正解だろう。
井戸壁の終わりで行きと同じ尾根に乗りトレースに沿って滑る。この途中一ヶ所ブッシュが濃いポイントがあり、30mほどスキーを担いで突破し、またスキーを履きなおした。あとはトレースに沿って尾根から離脱し、登山口までダラダラと滑る。橋が見えてきたあたりで左を行き過ぎて若干面倒なことになったので、このあたりは素直にトレースに従うのが安牌だろう。駐車場で若干の登りを挟み、威守松小屋に帰還した。
下山後は泉屋旅館でお茶を頂いた。お茶うけのたくあんも美味しかったし、つくづくありがたいかぎり。またお世話になります。
【総評】
思わぬタイミングでの再訪となったが、山上からの景色はホームグラウンドにふさわしい雄大さだった。また、2年ぶりに今度は後輩を連れてやってきて自身の成長を実感できたのもよかった。
反省としてはやはり生田のシールトラブルだろうか。原因は判然としないが、おそらく小屋に泊まった一晩シールを付けたまま外に放置していたのがよくなかったのだと思う。濡れと冷気でグリップ面がカチカチに固まってしまっていた。
他は各自キックステップの修練が足りないこと、それから滑走のスピードコントロールだろうか。キックステップは特に前にいた前川が前傾姿勢になっていて何度もスキートップを引っ掛けていた。その点生田は中々美味かったので褒めたいところだ。滑走時には前述の通り私も怖くてずっとボーゲンのまま滑っていたのだが、毎度生田が猛スピードで突っ込んできて急ブレーキ⇒止まりきれず頭を下にズデーンを繰り返していたので肝が冷えた。山口前川もちょくちょくビックリするようなスピードで追いついてきて思いっきりこけるので危なっかしい。急斜面では常にスピードが出すぎないよう小刻みにブレーキをかけ続けるべきだと思う(ヘタクソのうちは)。
とはいえ苦戦するかと思っていたツリーランもペースを落とさず突破できたし、現役のみのパーティとしては上出来と言えるだろう。来年は山頂まで行けるといい。
山口生田は2週間後OB合宿でまた来ると思います。今度は五十嵐が苦戦すると思うのでぜひ二人とも頑張ってください。