〈対処〉以下、表記は関西起点120に則る。
・入渓点
発電所から「遊歩道」が出ているという話であったが、何が遊歩道か。道が荒れていて結構わかりにくかったが、途中から鎖や木橋が出てきて道が明確になる。取り敢えず踏み跡を意識しながら川を左手に見ながら進んでいく。
①一の滝
対処:右岸巻き(必要に応じてPR)
奥多摩や丹沢の巻きに比べると勿論大変ではあるが、立ち木やホールドは豊富。沢になれていない人がいるなら要所要所でPRが必要。
尚、滝口に降りる際に残置あり。結構滝口に近いので注意する必要あり。
②二の滝
後述するがアクシデントによりすっ飛ばした。めちゃめちゃ見事な滝。50mは流石。
③三の滝
同様にすっ飛ばした。
・取水堰堤
三の滝上にある。エスケープには使えることは今回身をもって体験できた。途中までは整備された道がある。
最後、発電所に降りる際は勾配が急であるため一回懸垂下降をした。それ以外はレールを持ちてにして下降。但し、油でギトギトになる。
・岩間滝
対処:左岸巻き
④トチの木
なんか古代に生えていたような木である。ここにある5mは栃木側から巻く。岩から降りるため後続はショルダーで降ろす。
・5m堰堤
対処:右岸巻き(膝を上手く使いながら)
魚影がここで消えるとかいう話があるとかないとかいうため20分釣り休憩。結果、小さい魚影は見られたが釣れなかった。
・440m分岐
⑤459m分岐(1:4)
対処:右へ
ここまではマジで絶好のビバーク地だらけ。できることならここで休みたかった。
・巨石帯
対処:偵察・空身で登るを繰り返す。必要に応じてPR。イメージとしては結構右岸巻きから入り徐々に水流中に向かっていくと突破できる。
→地獄。ここの突破だけで2時間ほどかかった。このような地形は奥多摩・丹沢には当然見られず、奥秩父や東北にもない南紀独特のものであった。
ルートを知らなければ時間がかかるのは当然で対処としては上出来だったと思われる。今後南紀の沢で巨石帯がでてくるのであればコースタイムの設定に十分気を付ける必要がある。
⑥10mと8m
対処:右岸から取り付いてトラバース。CLが根っこで中間支点を取りながらfixを張る。中段テラスでは滝から離れるように進み、途中ショルダーでトップをあげ、PRで後続を引き上げる。以降は草付きをどんどん登り落ち口ではPRを張って下降。落ち口に近いため十分気を付ける。
→地獄パート2。右岸からのトラバースがマジできつかった。中間エイトノットで確保はしていたが、根っこをつかんで気合で登る。本当に危ない。小野先輩はセルフを通してきたが、辻ちゃんはしょうがないからPRで立ち木支点確保を行う。計画段階では上の8mトイは泳いで取り付く予定であったが、一気に10mと共に巻いていた。計画段階との齟齬があった。どうやって8m手前で降りたのかは謎だが、トポ図にもあるしそのまま巻くのが自然。
・7mナメ(表記なし)
対処:左岸から取り付いてトラバースしてPRで懸垂し、水流中の左へ出る。トップが立ち木からPRをだして左岸直登。戻り口はナメで危ない。
・小さいナメ(表記なし)
対処:水流中左直登
→CLはトップで右から行き滑って釜にはまる。全身がつかる深さ。寒すぎ謙信。それをみていた後続は左へ。
・2mCS(表記なし)
対処:左岸巻き
・左岸ビバーク地
ここでビバークすることに。3人ぎりぎり眠れる平地がある。一方で薪は豊富であった。
⑦10m
対処:左岸巻き。
→低く巻きすぎると落ち口へ届かないし、高巻きしすぎると戻り辛くなる。今回は辻ちゃんがトップとして丁度良い場所のルートどり。
踏み跡アリ。トラバースの一部区間は結構危ないためPRを推奨。今回はメンツがメンツでありそのままで行った。
これ以降は綺麗なナメが続く。
・ナメ滝
いくつか出てくるが、フリクションを利かせて登りながら、必要に応じて立ち木をホールドに使う。
⑧15m
対処:右岸巻き。落ち口ではPRで立ち木支点に懸垂下降。落ち口に近いため注意。
→今までの巻きと比べると余裕のよっちゃんイカ。落ち口は傾斜が急になっており、また近いため今回は安全を取って懸垂にした。
・ビバーク予定であった石垣。ビバークには最高。
・奥の二俣(650m)
対処:右へ
・二俣
対処:今回は下山のため左へ
計画では滝本北谷、滝本本谷も遡下降予定であったため右であったが、熊野大社に行くのであれば左が早い。
・ツメ~下山
忠実に詰めていくと人工物の電柱が見え、車が通れる林道へ数分で出られる。そこで沢装を解除し、熊野古道へ入っていく。GWだから人がいるのなんので大変であった。
〈総評〉
GWの5/4,5,6で沢の予定であったが、天候が良くないということで4/30出発で5/1,2,3,4で沢に入ることに。5/1,2が授業日であったが上級生は集まった。
沢合宿と銘打っている通り、高田川ナル谷(2級)遡行、滝本北谷(2級下)下降、滝本本谷(2級)遡行の予定であったが「色々あり」予定通りにはいかず、、、。
以下、色々を書いていく。
二の滝目前までは順調であったが、ここで長尾氏が登攀中に落下し眼鏡を失くす。彼は眼鏡がないと活動できないほどであるが、予備を持っておらずここで送り返すことを決断する。辻も去年眼鏡を失くしているのに予備を持っておらずCL(文責)切れる。しょうがないから自分の予備眼鏡を長尾氏に貸しエスケープを採用。取水管までツメあげて荷物をデポ。ここでコースタイム+3:30と懸垂で送り返してからの登り返しと体力を消耗。やはり2019の葛根田、2021の本間沢、2022の荒沢谷、葛根田から続く沢合宿には絶対何かあるというジンクスはまさに健在。前日に新宮の阿須賀神社でお祈りしたんだけどなあ。という理由で二の滝、三の滝を飛ばして復帰。
しかし、以降はコースタイム設定の甘さと南紀特有の地形に悩まされビバーク地到着が18:20に。一歩間違えれば遭難案件であった。
夜は焚火でホタテを食べ、お喋りをする普通に楽しかった。翌日は打って変わって楽しいナメ天国。滝本北谷続行か否かで保守派小野と急進革新派藤田、革新派辻で話し合い。まあリスク取ってもしょうがないし下りることを決断。残念でならないが、リベンジを誓う。那智勝浦でのマグロはマジで良かったバイザウェイ。ワンゲルあるあるだけど、熊野大社行ったのに時間ないしめんどいから参拝せずに那智の滝だけみた。
では、沢のお話に戻りまして。反省については別フォルダの遭難案件の所で書いているのでそれを参照。
しかし、本当に良い経験になったし、W2,3だけだったら2級上くらいになら完遂できるという自分たちの立ち位置を確認できて良かった。
南紀の沢は水量が多く、巨石帯など独特の地形がある。また、グレードは辛く+1を見積もった方が良い。2級→2級上など。東北の沢のように長いからグレードが高くなっているのではなく、日帰りなのにそういうことはそういうことなのである。それを経験できたという意味でも有意義であった。
目的の一つであったW2の育成という点では達成できなかったが、参加メンバーの自身にはつながったのではないか。
また、GWの南紀沢は昼間で晴れていれば全身使っても少し寒いくらいであるが、夜は未だ寒かった。今後のGWの計画の参考にされたい。あったかいときにまたきたいですねえ。
小野先輩、辻ちゃん、そして途中まで長尾君(笑)ありがとうございました。