東黒沢~ナルミズ沢
日時 2023.7.24~26
山域 谷川連峰利根川水系 二級(程度)
文責 辻
目的 一年生の沢泊トレ。初級沢で2泊3日を体験する。
メンバー CL:辻(W3)、SL・医療:長尾(W2)、食当:前川(W2)、天気:五十嵐(W1)
天気 三日間通して快晴。水量やや多め、水温普通。
地図資料 25000分の1地形図 「茂倉岳」 山と高原地図 「谷川岳」 銘渓62選「湯檜曾川東黒沢」「宝川ナルミズ沢」
電波 docomoについてはナルミズ沢奥ノ二俣~朝日岳下山まで電波がつながった。他キャリア未確認。
コースタイム
〈一日目〉 土合駅(4:30)-0:25-入渓点(4:55)-0:50-ハナゲの滝30*60m上(5:45)-0:15-白毛門沢出合(6:00)-0:45-ヒョングリ滝2段8m上(6:45)-0:45-トイ状ナメ滝18*25m上(7:30)-0:40-奥ノ二俣(8:10)-1:40-鞍部(9:50)-1:40-広河原(11:30)-0:50-釜7m上(12:20)-1:25-大石沢出合(13:45)△ 計 11:15(沢外 0:25、沢中 10:50)
〈二日目〉 大石沢出合(6:00)-1:00-魚留メ滝8m下(7:00)-0:20-魚留メ滝8m上(7:20)-0:40-1400m二俣(8:00)-1:05-奥ノ二俣(9:05)-0:15-稜線上(9:20)-2:10-ジャンクションピーク(11:30~11:50)-0:20-朝日岳(12:10)-2:35-大石沢出合(14:45~15:15)-1:00-広河原(16:15)△ 計 9:25(沢外 6:05、沢中 3:20)
〈三日目〉 広河原(7:00)-1:45-林道終点(8:45)-1:40-宝川温泉(10:25) 計 3:25
コース記録(YAMAP)
【詳細】
アプローチは青春18きっぷによる前日泊。国立から土合駅まで4時間弱。土合駅の地下ホームから地上までの大階段は圧巻。
土合駅構内は寝泊まり禁止となっているが、トイレ自販機など大変よく整備されており、駅前でマットを敷いて寝るだけでも快適。今回は駐車場の端にテントを張って寝た。
東黒沢
・入渓点
白毛門登山口からしばらく歩くとボロい橋が出てくるので、これが東黒沢。ここから上流に堰堤が見えているので、しばらく登山道を歩いた先から右岸の踏み跡を辿って入渓する。意外とすぐ堰堤より上に上がれたので、踏み跡を辿るのは数分程度だった。
・ナメ滝5m
左壁直登。右岸の雁木をひっつかんで無理やり登る。下降はCD。
・ハナゲの滝30*60m
核心部右岸巻き。中盤までは余裕。最後の数mは左壁が直登出来そうだったが少し水量が多く滑ると危険。その場で右岸に明らかな巻き道があったのでこちらを選択。新品のロープも張られていて超親切。下降も同様に核心部右岸巻き、のちCD。
・白毛門沢出合
ナメ滝どうしで合流し分かりやすい。右へ。
・ミニゴルジュ
左岸巻き。思ったより水深深め。この日は水量多かったか。左岸に簡単に上がれるのでここから巻いた。沢筋にもCDで降りれる。直後の5m滝は余裕。下降は同様に左岸巻き、もしくは泳いでもよい。
・ヒョングリ滝2段8m
右壁直登。この日のW1にはPRも必要なかった。その程度の滝。下降は高度感があるのでPR、もしくは懸垂下降がベター。
・金山沢出合
ツチノコポットホールがある。左へ。
・多段ナメ状20*100m
水流中直登。簡単。対処を書くまでもない。下降はCD。
・トイ状ナメ18*25m
右壁直登。左岸をへつって取り付く。下降はCD。
・2:1分岐
この辺りから鬱蒼としてくる。左へ。
・奥ノ二俣
右へ。ここから先に休みやすいところはなかった。
・ツメ
3,4mほどの小滝が途中連続するが、いずれも直登可能。下降はPRを出すのが良い。
鞍部に近づくと沢は小さく分岐し藪漕ぎとなるが、我々は間違った沢筋を辿ってしまった。実際踏み跡も明瞭ではなかった。地形図で見るよりも鞍部は奥にあるので現在位置を見失わないよう注意。GPSがあるとやはり早い。
・広河原までの下降
途中小滝もあるが、ほとんどCD可能。一つ厳しい滝もあったが新品同様の残置スリングが利用できた。登りだと結構長いのでウツボギ沢で水を汲んでおくとよい。
ナルミズ沢
・広河原
右岸の洲と左岸を一つ上がったところにビバーク地点あり。超快適。
・釜7m
左岸高巻き。直登するには直前の淵が中々深く取りつきが難しい。淵に入る手前で左岸に上がれるので、ここから藪漕ぎして大きく巻く。踏み跡は不明瞭だが、巻いてる最中も滝が見えているので迷うことはない。7mの上の3,4m滝をさらに越えた河原に簡単に降りられた。下降も左岸巻きが良い。
・大石沢出合まで
大きな釜を持つ小滝が連続する。岸をへつって攻略。この辺りが絶好の釣りポイント。
大石沢出合から少し降りたところの両岸に一つずつビバークポイントがある。今回は右岸側にテントを張った。
登山道は大石沢を少し上がったところを渡渉している。右岸にペンキが塗ってあるのでこれが目印。今回は早朝出発前に宿泊装備をここにデポした。
・S字状ゴルジュ
左岸巻き。ここまでも3,4mほどの小滝が連続する。ゴルジュは泳いで突破するつもりだったが、水温が低く断念。水量的にも取りつきが難しそうだ。巻き道は明瞭。下降も左岸巻きが楽か。
・魚留メ滝8m
右壁直登。はっきり言って簡単。多少滑るのでW1にPRを出したが、さして必要なかった。滝上には左岸に立木が豊富で、今回もここからPRをおろしてもらった。
滝上左岸にビバーク地点あり。
・ナメ10m
水流中直登。大きな釜を持つ滝。取りつきが厄介だが、右岸をへつって水流中のバンドに乗り移る。意外と足場はある。下降はCD、釜は泳ぐのが早い。
・二俣
ほぼ1:1。目の前に岸壁がそびえたっている。ここから奥ノ二俣までが最も美しい光り輝くナメ。右へ。
ここから大小のナメ滝が連続するが、直登余裕。ただし下降は高度感があり滑ると危険。立木もないので草をつかみながら慎重に行きたい。
・3段7m
左壁直登。難しくはない。ただし落ち口がナメになっているのでスリップ注意。下降はCD。同様にスリップ注意。
・奥ノ二俣
手前にも明らかな二俣があるが、これは間違い。上流が岩でふさがっている。奥ノ二俣は草原が広がっており、右沢はほとんど涸れている。左へ。
・ツメ
二俣後もしばらく水流は多い。しばらくすると藪が濃くなり水も枯れる。つめ上がると草原が広がり、踏み跡が稜線まで続いている。
・ジャンクションピークまで
クソ。マジでクソ。踏み跡はあるが薄く、ほとんど藪漕ぎ。この日は日差しがきつく、藪の中は熱もこもるので全員熱中症気味だった。また途中岩場もあり、中々緊張させられる。藪によるスリップも注意。滑ったら下は岩が転がっていて死ねる。手前のコルからジャンクションピークまでの登りも200m近くありかなり辛い。コースタイムは長めに想定することをオススメする。
・朝日岳
このあたりは木道も整備されていて快適。トンボはうざったかったが。目の前に見える谷川岳がカッコイイ。
・大石沢出合までの下山
クソPart2。マジでクソ。そこそこ滑るし滑った先は岩壁なので緊張感あり。特にこの日は熱中症気味で集中力も切れてた。水をもっと多めに汲んでおけばと後悔する。途中ただの踏み跡みたいなところもあるので道間違いに注意。岩場を抜けてからもかなりの急坂が続くので途中で休憩をはさみたい。
・広河原まで
このあたりは多少荒れているとはいえ十分歩きやすい。沢を下降するよりずっと楽。ただし泥でずくずくになるので登山靴に履き替えていると後悔するかも。
・下山
広河原から出てしばらくすると渡渉。思ったより長かったので沢靴必須。ここから林道終点まで岩場が連続するが、いずれも丁寧にロープが張ってあって問題ない。しかし思ったより長かった。林道終点からも崩壊激しく、アスファルト舗装はまばら。発電施設からは綺麗な舗装路に変わる。
宝川温泉は川を眺めての露天風呂。値段が高い分極上の湯なので、是非ゆっくりしてほしい。今回はCLが夜にバイトを入れてしまっていたので早々に上がってしまった。温泉からバス停までは走って20分程度。結構キツイので早めに動きたい。
【総評】
部としては数年ぶりの遡行となったナルミズ沢だが、今の実力でも十分W1を引き連れて遡行できるちょうど良い難易度の沢であった。ロープで確保をするような箇所はなく、PRすらほとんど必要ない。上級生に実力があればW1が複数人いても遡行可能だろうし、ビバークも快適、いい思い出になること間違いなしだろう。惜しむらくはやはりジャンクションピークまでの藪漕ぎだろう。水が足りなくなるとは聞いていたが予想以上の辛さでW1には相当こたえたようだ。朝日岳からの下山もかなりの急傾斜、スリップ注意なので気を抜けない。とはいえ土合駅まで直接下山するとなると同様のルートをテントその他宿泊装備を背負っていくことになるのでやはり宝川温泉への下山がオススメだ。宝川温泉は入浴料1500円とお高めだが、広々とした休憩スペースもあり十分お釣りがくるレベル。今回は早々に帰ってしまったのでまた来れれば。
メンバーはよく頑張ってくれたと思います。以下各自へのコメントなど。
CL辻:CLとしての沢合宿は多少不安もあったが、滝への対処やビバーク、焚火など、上級生としての役割は十分果たせたと思う。しかし藪漕ぎでは体力の無さを痛感させられた。先輩方と比べるとやはりまだまだだなと感じる。トレーニングを積まなければ。あとはちゃんと釣果をあげられるようにしたい。
SL長尾君:SLとしていつも一緒に登っているが、大量の荷物を背負って先頭を行ってくれるのはやはり頼もしいす。W1が水不足になったときは分け与えてくれてとても助かりました。そうした部分はリーダーとしての役割を十分果たせているかと。改善点はやはりルートファインディングかな、特に白毛門沢出合を見逃したミスは痛かった。トップを行くときはしっかり顔を上げて動くことが肝要だと思います。あとW1からクレームが出てるので着替えはちゃんと持って来てください。
食当前川君:相変わらず前川君の作る飯は上手い。特に一日目夜のキーマカレーは絶品でした。他メンバーとしても十分よくやってくれていたかと思います。ぜひ後輩を沢に連れていけるようになってください。
天気五十嵐君:二回目の沢でしたがよく登れていました。ほとんどロープに頼るようなことはなかったし、結構早いペースだったのでよくついてきてくれたと思います。天気図もまあ及第点かと。課題は体力面と、あとはリーダーに対するフォロワーとしての行動を心がけてください。藪漕ぎも辛かろうが、いきなり座られちゃあ士気も落ちるしね。これからもよろしくお願いします。