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2017 沢トレ倉沢谷塩地谷遡行


文責:安陪
山域:奥多摩 日原川水系 倉沢谷塩地谷
参考資料:遡行図「東京起点沢登りルート120」、25000分の1地形図「武蔵日原」、山と高原地図「奥多摩」2014年版
日程:2017年7月2日(日)
目的:沢トレ
天気:曇り時々晴れ
メンバー:CL:安陪(W3) SL:葉玉(W3) 医療:シン(W1) 無職:布勢(W1)

コースタイム
倉沢バス停(7:50) -0:50- 入渓点(8:40~9:00) -0:20- 地蔵滝下(9:20) -0:20- 懸垂下降開始(9:40) -1:00- 地蔵滝上(10:40) -0:35- 一つ目の6mCS下(11:15) -1:00- 一つ目の6mCS上(12:15) -0:25- 小屋跡(12:40~12:50) -1:00- 7m下(13:50) -2:00- 7m上(15:50) -1:50- 最後の5m上(17:40) -0:25- 一杯水(18:05~18:20) -1:30- 東日原バス停(19:50)
沢中:9:05 沢外:2:55 合計:12:00(休憩時間を含む)

入渓まで
7:27奥多摩駅発の東日原行バスに乗る。バスは二台来て両台とも立つ人がいる位には混んでいるが混み込みという程ではない。倉沢バス停から魚止橋までの道は整備されていて歩きやすい。割とマイナーな沢だと思っていたが、8人程の大きなパーティーが来ていた。魚止橋から入渓点までの道は結構荒れていて草が生い茂ったり、ガードレールが傾いていたりしたので注意が必要。ここでは長尾谷を登る2人のパーティーにも会った。

対処
①入渓点:道が開けて眼下に沢が見え始めてから少し進んだ所に踏み跡がある。踏み跡らしきものはいくつかあり、急な斜面を真下に降りるような踏み跡もあるが、斜め下にトラバースしながら降りる踏み跡があり、後者の方が安全と思われるのでよく探すこと。

②地蔵滝:右岸を巻いて山道まで上がり、山道を少し行ってから懸垂下降で滝上に降りる。巻き道は地蔵滝少し手前の滝を巻く道からそのまま続いていた。踏み跡は明瞭。地蔵滝直下からの巻き道も途中から合流する。巻き道は最後、そのまま真上に上がるようなルートと進行方向左上にトラバース気味に上がるルートの二つに分かれるが後者の方が良いと思われる。山道に上がってしばらく進むと下降点の赤テープ。下降の最初は傾斜が緩かったので少しクライムダウン。その後トラロープの張ってある立ち木から懸垂下降した。計画段階では2ピッチの懸垂を予定していたが、結果的に1ピッチで降りれた。但し、長さとしてはかなりギリギリだったので、場所によってはやはり2ピッチ必要だと思われる。トップはロープの残りの長さを気にしながらピッチを切るべきかどうか考えて降りるのが良い。

小滝と連続する6m:きちんと記憶にある訳ではないが、それらしき滝は水量が多かったので近づけず、少し前から巻いたと思う。恐らく右岸巻き。

③一つ目の6mCS:右岸巻き。6mCS前にウォータースライダーが出来るような小滝があり、その前から巻く形になる。高巻きし過ぎると再び山道に出てしまうとのことだったので、余り高巻きにならないよう気を付けながら進んだ。巻き道は上部で真上に上がるルートと進行方向右にトラバースするルートの二つに分かれる。前者はそのまま山道に上がるルートだと思われたので、後者を選んだ。ここからは足元が安定せず、つかめる木の幹や根も少なくなるので慎重を要する。途中2回、W1用にパワーロ―プを出した。最後は少し高い所から沢に降りる形になるが、クライムダウンで降りれた。また計画段階ではW1確保を予定していたが、巻き道が分かれる前は確保が必要な巻きではなく、分かれた後はトラバースなので確保をするのが難しいため、確保は行わなかった。もちろん当パーティーが選択した巻き道が絶対という訳ではないので、トップを務める者は安全な巻き道を探しながら注意深く進んで貰いたい。

下流部の滝場最後の6m:直登は明らかに厳しい。右岸巻き。巻き道は明瞭で巻きは難しくない。

小屋跡:かなり広くて平ら。テントを何張も張れるだろう。魚止橋から来る山道も棒杭尾根に行く山道も明瞭に分かる。

3m:つっぱりで直登。

3×5mトイ状:直登は厳しい。右岸巻き。

④7m:この沢の核心。右岸巻き。フィックスを張る。ビレイ支点、中間支点、確保支点ともに立ち木で、中間支点は6つ。序盤は傾斜が緩く普通の巻きと変わらないが、中盤でハング気味の岩壁を登る必要があり立ち木に片腕をかけてもう一方の腕だけで中間支点を取らなけらばならない場面があった。岩壁を登ると終盤のトラバースになり、ここにはトラロープがあるが信用はできない。切れ落ちている崖ぎりぎりの所を渡る必要があるので、かなりの注意を要するだろう。トラバースを終えるとテラスの様になっており、数人は安全に留まれるスペースがあるので、ここに確保支点を取ってフィックスを終了した。セカンドにクローブヒッチによるロープの中間支点への固定、サードにその解除を行わせながら登らせた。リードの難易度は思っていた以上に高く、登攀・ルート選定・トラバースの技術・経験が求められる。確保支点を取ったテラス状のスペースから沢に降りるまでは未だある程度の落差があるが、懸垂下降の必要はなかった。この巻きの対処で時間が掛かってしまった原因としては、序盤の傾斜が緩い部分ではフィックスを張る必要がなかったこと(岩壁を登る辺りから張るようにすれば時間の短縮が出来たこと)、セカンドとサード(共にW1)のフィックス通過とロープワークに時間が掛かったことがある。前者に関しては改善できるが、後者は仕方のないことなので、この巻きにはやはりそれなりの時間が必要になるだろう。

連続する二本の4m:同定できなかった。ここら辺でシンが滝を直登中に足を滑らせ1~2mほど落ちた。手を二か所擦りむき足を少し打ったが大事はなかった。フリーで直登できない様な滝ではなかったが、7mの後で疲労もあり、注意力が落ちてくる頃なのでリーダーはここら辺で改めてW1等へ注意喚起をしておく必要があるだろう。

二つ目の6mCS:中央のリッジ(水流左の尾根状の部分)を登る。難しくない。

5×8mと5m:沢が一旦伏流してもう詰めなのかなと思う頃に現れる。両滝とも直登可能。高さはあるので慎重に。

ツメ:5mを過ぎると一杯水まではそう遠くない。沢はしっかり続いており、一杯水にドンピシャで出る。油断は禁物だが、ツメ自体は筆者が今まで経験してきた沢のツメと比べると決して険しいものではなかった。

一杯水:水場がありホースが出ていたが水は出ていなかった。4人が休める位のスペースはあるが登山客の邪魔になると思うので、少し進んだ所にある一杯水の避難小屋前の広いスペースで休んだ方が良いだろう。

ヨコスズ尾根:傾斜が緩やかで快適に降りられる尾根。看板も沢山ある。最後は民家の近くを通る狭い道になる。

電波情報
倉沢バス停:docomoあり、softbankあり 入渓点:docomo圏外 小屋跡:docomo圏外 最後の5m上:docomoあり 一杯水:docomoあり(電話やラインが通じた。但しインターネットで検索したりするのは難しかった。)

総評
高巻きからの懸垂下降、フィックスの練習のみならず直登できる滝も多いので手応えのある良い沢だった。ツメもそれほど厳しくなく、下山道も快適である。但し7mのフィックスは難易度が高いので、この滝の巻きに関しては現在のHWVのレベルを考えると、沢トレ時期のW2にトップを任せるのは厳しいと感じた。部でこの沢に行ったのは記録を見る限り今回が初めてであり、時間が思った以上に掛かって危険な下山になってしまうというハプニングはあったが(詳しくはHWVフォルダの「倉沢谷塩地谷事故報告書」を参照)、沢自体は本当に良い沢なので、次回以降は当記録を参考にし余裕のある計画を立てた上で、この沢に行って欲しいと思う。












 






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