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2016雪上訓練 木曽駒ケ岳


文責:永喜要次

1.日程
2016年12月 10-11日 前夜発1泊2日

2.山域
中央アルプス 木曽駒ケ岳

3.目的
雪上訓練と雪山テント泊始め

4.メンバー
CL:永喜 SL:葉玉  食当:小川

5.参考資料
・2万5千分の一『木曽駒ケ岳』
・ヤマケイガイドブック『雪山登山』
・その他、同年度・同時期・事故例などのネット資料

6.コースタイム
0日目:立川駅 18時半ごろ -(高速バス)- 駒ヶ根インター21時ごろ -(徒歩)- 駒ヶ根駅▲
1日目:駒ヶ根駅 -(バス)- 菅野台 -(ロープウェイ)- 千畳敷駅(9:30 -雪上訓練- 12:40) -1:35- 宝剣山荘前▲(14:15) 
2日目:宝剣山荘前(7:40) -1:20- 木曽駒ケ岳山頂(9:00) -1:10- 宝剣山荘前(10:10) -1:30(テント撤収時間含む)- 千畳敷駅下の斜面(11:40)

7.記録・対処・危険個所など

0日目:今回の往復は、バスからロープウェイ含めすべてがまとめられた千畳敷カール切符を利用した。購入の方法が分かりづらいが、事前にwebで立川-駒ヶ根インターのバス席を予約しておき、一日前くらいに窓口で千畳敷切符に変更して購入させてもらうのがベスト。もしくはひと月前位に直接窓口でまとめて買う。 窓口の人はあまりこの切符に慣れていないらしく、発車15分前に窓口に申し出たらかなり焦られた。結局車内で購入することになったが、運転手も車内購入には慣れていたいないらしく、手を煩わせることとなった。
駒ヶ根インターからは歩きで駒ヶ根駅へ。そこまで遠くはないが、最短ルート上にコンビニはないので、少し遠回りする必要がある。夕飯は駅前の庄屋にて。終電がなくなっても地元の人々でにぎわっていた。
0時ごろ、駅の待合室内で就寝。電気が消えないので、寝づらい。途中(始発くらい?)に酔っ払いと、話しかけてくるおじさん?が出現。あまり治安は良くないのかもしれない。
 
1日目:菅野台からのバスは人が多く、自動車で来た人々も合流して補助席利用となった。雪上訓練分の巨大な荷物は取り回しがしんどい。千畳敷駅にはいつもはパトロール隊がいるらしいが、今回はいなかった。ロープウェイ駅構内で冬靴まで履いて出発。快晴で、下部では暑いほどだった。
千畳カール底部まではツボ足で、そこから約2時間ほど訓練を行った。内容は、歩行訓練、滑落停止、アイゼン歩行・ピッケルの基本的な使い方・耐風姿勢・ビーコンの使い方。
斜度があまりなく、雪も柔らかかったため、あまり本格的にはできなかった。むしろワカンで歩いたほうが良いレベル。
ある程度やったところでリミットが近づいたので、宝剣山荘に向けて出発。雪崩の危険性もあるということで、ビーコンを着用した。ピークは過ぎたとはいえ、同じくカールを登る人は多かったため、あまり途中で休めそうにはない。また、カールの上部に行くほど斜度が上がり、クラストしているので初心者には十分な補助・声掛けなどが必要。小川は最後のほうで少し疲れていたようだ。  
宝剣山荘前は泊適地があまり多くない。稜線上のため風が強く、雪面も凍っているためテントを建てるのには苦労した。6人テントは建てられないのではないだろうか。また、建てる際には竹箸などの埋めるものより、むしろペグなどがあったほうがいいかもしれない。実際、張り綱はピッケルやスノーバー、露出していたベンチにスリングで巻き付ける、などの手法を使って固定した。
風が強かったので、風防のようなものを作って見た。表面が凍っていても内部はまだ柔らかかったので、雪のブロックの切り出しにはスノーソーが役に立った。ただしブロックを積み上げてはみたものの、効果があったかどうかは不明。15:50ごろ全て終了。
テントの側面がへこんだり、色々吹き込んできたりするので調理にも苦労したが、小川作の鍋を頂いて20時半ごろに就寝。

2日目:5時起床。
ホワイトアウトとまではいかないが、視界が悪い状況で道迷いが怖い。体力的な面と、テントが飛ばされる恐れもあったため、できる限り荷物をデポして出発した。
朝方のため雪面は凍り付いていたが、転倒しても滑落の心配はほぼないだろう。一つ目のちいさなピークの半ばで、先に行った6名ほどの壮年のパーティーが引き返してきた。ホワイトアウトしていたのかと聞いてみたが、あまり明瞭な返事は得られなかった。
中岳山頂から木曽駒山荘へと下る道程で、直線的に降りても安全かどうか迷い、山頂の東斜面を巻く形で下った。ここでタイムロス。
木曽駒山荘からも、山頂が見えなかったのでコンパスを合わせていこうとしたところ、ザックすら持っていないパーティーが中岳から直線的に山荘まで下ってきて、そのまま山頂方面にどんどん行ってしまった。我々は気張りすぎていたようであった。山荘から頂上までも微妙に夏道でのロープが露出しており、それを辿るとなんなく到着できた。寒かったので頂上神社に頭を下げてすぐに下山開始。展望はまったくであった。もちろん山荘から中岳へは直線的に登ることができた。
宝剣山荘前に戻った後、テントを撤収し下山を開始する。筆者が長めにキジ打ちをしていたため他の二人が冷えていたようで申し訳なかった。
千畳カールからの下りは、登ってくる人とすれ違うことが多く気が抜けない。中間部まで行けばあとは適当に下っていけばよいだろう。
その後、13時55のロープウェイの便まで雪上訓練の続きを行った。内容は雪上での支点作りの紹介(スノーバー縦/横埋め、ピッケル、土嚢)、支点を使っての懸垂下降、スタンディングアックスビレーを練習した。実際に引いてみる、強度を確かめるなどの実践も大事。
下山後は菅野台でバスを降り、こまくさの湯に入り、明治亭でソースカツ丼を食べた。高速バスの発車は18時だったが、菅野台からのバスは16時半で終わりだったため、タクシーを呼んだ。


8.反省点
・千畳カール下部はあまり雪上訓練に適していなかったかもしれない。探せばやっている記録はあり、我々が行った日も同じようなことをしているパーティーは何組もあったが、少なくとも滑落停止は昨年の谷川岳より実践的にはできなかった。滑られるほどの斜度もなかったからである。
パッと見た限りであるが、木曾駒山荘の周辺がそういった実際に滑って止める訓練には適しているように見える。ただ、なんの訓練もなしに初心者にいきなりカールを登らせるのはまずいので、カール下部で軽く停止訓練をしたあと、当日もしくは翌日にpart.2ができれば理想的だろう。
・自身もできていなかったが、方向転換の時にピッケルを斜面上側に突き刺し、両手で握って転換するというのは練習してよいと思われる。強引にアイゼンのみで方向を変えがちだが、方向転換は転びやすい場面でもあるので、練習段階から気を付けておくべきであろう。
・カール上部まではトレースがばっちりだが、稜線上はクラストしているのでトレースは見つけづらい。見つけようと探してしまうとかえって時間を取られてしまうこともあるので注意。
・風が強いため、ゴーグルとバラクラバは必須だろう。ただバラクラバをゴーグルで押さえつけると、レンズが曇って凍結してしまうのが難点だったので、次回までに良い解決策を考えておきたい。

<まとめ>
山行内容としては充実していたが、細かなミスやタイムロスがあったように思う。下界にいるうちに準備できるところはやっておきたい。高速バスを使って日帰りでも十分にいける山なので、晴れの日を狙って次回も行きたいところである。



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