2008年 沢トレ 水根沢


【08リープレ 水根沢遡行の記録 】

※この記録は一橋大学ワンダーフォーゲル部(以下HWV)の部員が記録・作成したものです。主たる対象はHWVの後輩であり、レベルに関する表記などはHWV基準で書かれています。
また、記録対象が「自然」であるため、ここに書かれている記録通りの状態が永続することを保証するものではありません。

メンバー: 
CL-安井(W4)SL-清水(W5)医療-加藤(W2)新人-木村・藤井(W1)

日程:7月13日 

コースタイム: 
水根バス停-0:10-入渓点(9:20)-3:30-②上-1:10-むかし道休憩所(2:00)-0:10-水根バス停 

対処及び感想: 
第1のゴルジュ:
3mは釜の右より入り、右壁を登る。足を大きく開き水流左のスタンスをうまく使い登る。まあ余裕。4mは釜に入って左側を泳いで突破。しっかりぬれるので、飛び込む前に心臓の辺りに水をかけておくことを忘れずに。滝の登り口では、倒木によじのぼって体を持ち上げる必要がある。筋力が少し必要。後続にはこの倒木からPRを出す。
先行PTが左壁にある残置シュリンゲを使い、リード登攀をやっていたが、あの水量でそこまでやってへつる意味はないだろうと毒を吐いておきます。
まくなら左岸。3mだけ登ってから巻くことも可能。しっかりした巻き道。

①後の釜を持つ滝(CSっぽい滝):
釜の左側をへつりながら滝の落ち口へと進む。ところどころ難しいへつりもあるが、ここは濡れないで行くことも可能。左壁の残置シュリンゲの使用は、もっと水量が多いときにかぎられるだろう。
意外とここの登りはシビア。左側から滝の落ち口にアプローチするが、実際に登るのは右から。最後のひと踏ん張りのところがホールド、スタンスともにとぼしく、体を乗り上げて突破する。後続には肩がらみでPRを出した。 

第2のゴルジュ:
四つの滝が連なる。直登。対処は右、左、左、右(最後はゴルジュというより抜け口の滝)。巻きは適切な対処とは思えない。
一段目は釜の右を泳いで行く。滝の落ち口の右側に浅いところがあるので。そこからとりつく。ホールドに適切なものがないため少し難しい。後続には肩がらみでPRを出す。しかし、ここは少し水流が強いので、藤井ちゃんは流されて取り付きまで行けない。そこを助けに行った清水さん。助けに行ったはいいものの、藤井ちゃんの補助のために、ホールドがつかめず、立ち泳ぎのままくるくるくるくる水流に流される。それを見た後続PTは大歓声、デジカメで撮られるという辱めを受けてしまいました。
二段目は左からやはり釜を泳いで行く。残置シュリンゲのところまで行ったら、そこからは残置シュリンゲをガン頼りで登る。難しくはないが、スピードと安全性の問題で、一年生はザックピストンを選択。ただPRの長さがかなり必要(20m弱)ということと、後続にPRを渡す手間がかかることから、あまり順調にいった対処ではなかった。ただ、ザックにしがみつく一年生の姿は個人的にはツボだった。この姿を見た後続PTからはやはり歓声が…ただこちらはいい意味での歓声。
三段目は左からへつっていき、残置シュリンゲで突破。簡単。
四段目は右から登る。ハングっている岩の上にスタンスをおくところが少しだけ困難だが、簡単である。

下降開始
ここでリーダーズを除くメンバーの顔色が、寒さのせいで、明らかに悪くなっているため休憩をとる。清水さんがテルモス(水筒)を取り出し、温かい紅茶をふるまってくれる。防寒対策のため雨具を発動。そしたら、それを見ていたかのように雨が降り出す。遡行続行も考えたが、先行PTがメンバーの怪我のために下降してくるのを見たのと、ぎりぎりの遡行時間、次の難しいナメ滝を越えた際の下降の困難さを総合的に考慮したうえで下降を選択。

第2のゴルジュ:
四段目は登ったところをクライムダウン。
三段目は残置シュリンゲからシュリンゲを延長して、ゴボウ降り。
二段目はクライムダウン後、残置シュリンゲを使って安全なところまで行ったあとは釜をへつるようにところどころ泳ぎながら進む。肩までつかるところもある。
一段目は飛び込む。木村は、めがねラインを守れず危うくおぼれかけるが、水流に流されて無事生還。めがねが曇ると視界がなくなるんだ、ということをなぜか力説された。
強い雨の中での下降のため、リーダーとしての責任感という名のアドレナリンの分泌は異常だった。ただ、その雨のために水温が上がってくれたことが、せめてもの救いだった。

①後の釜を持つ滝(CSっぽい滝):
これの下降は困難だが、右岸に仕事道があるので、ここに上がってしまえば問題ない。仕事道に合流する踏みあとも滝の落ち口の少し手前の右岸にあるので見落とさないように注意しさえすれば大丈夫。この仕事道は、入渓点までつながっているので、あっという間に下降できた。 

 

リーコメ
正直、ハードな山行だった。おととしの渇水時期の、容易だったという遡行感想が仇となった。不備だった防寒対策、突然の雨、予想外の撤退の判断、ゴルジュの下降と、いいように言えば、PTの経験値があがる山行となった。しかし、それは結果論。実際、リーダーとしてのヤキモキ感は、抑えがたいものだった。
特に、今後に生かさなければならないのは防寒対策だろう。水量渓の沢に行く際には、長袖の着用、その着替えを用意すること、今回活躍したテルモスの携帯などを徹底するように注意していきたい。
ただ、やはり水根は水量渓の入門としてはベストだと思う。特に今回くらいの水量のときにいけばよりよいだろう。どう考えても、渇水時に行った一昨年の水根よりは楽しめたし、泳ぎに関しても個人的に自信がついた。

(SLコメント)
なぜかSL交替でSLやりました。私がSLだったから適切な下降ができた反面、本来のSLの北原ならもう少し早めに下降判断を下していたかもしれないのが微妙なところ。
 個人的には、ここまでゼンツで泳いだのは初めてだったのもあってかなり楽しかった。もう少し水温が高くて、天気が悪くならなくて、先行PTが邪魔にならなければ、すごく楽しく完全遡行できたところだった。
 ひとつ自分自身の名誉のために言っておくと、「そこを助けに行った清水さん。助けに行ったはいいものの、藤井ちゃんの補助のために、ホールドがつかめず、立ち泳ぎのままくるくるくるくる水流に流される。それを見た後続PTは大歓声、デジカメで撮られるという辱めを受けてしまいました」の部分であるが、個人的にはあの場所で立ち泳ぎで、止まっていたのは技術的になかなかのものだと思う。後続PTも私の勇士を楽しんでくれて、かつ、私自身ピースサインで対応するなど非常に良かった。「できないから笑われた」ではないことを付しておく。っていうか、安井がPRで引っ張ればすべてクリアだったのでは?




     RSS of this page