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2008年 沢トレ 小川谷廊下遡行


【08秋の沢トレ 小川谷遡行】

※この記録は一橋大学ワンダーフォーゲル部(以下HWV)の部員が記録・作成したものです。主たる対象はHWVの後輩であり、レベルに関する表記などはHWV基準で書かれています。
また、記録対象が「自然」であるため、ここに書かれている記録通りの状態が永続することを保証するものではありません。

日時:
2008年9月25日 前夜発日帰り 

メンバー: 
CL:安井(W4) SL:北原(W2) 無職:西垣(W2)木村・スエマツ(W1)

コースタイム:
立間大橋~0:40~穴の平橋(入渓点)~2:00~ワナバ沢~2:00~F11前~0:45~F11上~1:10~ツメ開始地点~1:45~穴の平橋~0:30~立間大橋[8:50]

記録:
F1(2m):
右の乾いたところを登る。2mのわりには高度感があり、体を乗り上げるところが少し難しい。ただここが登れないようでは、小川谷遡行できるレベルにないだろう。後続には、人口支点からPRを出すこともできる。
F2(5m大岩):
去年に比べ、水が多く、この時点でメンバーは頭から水をかぶることになった。対処としては、残置されているアブミと残置シュリンゲ、倒木をうまく使って登る。上部はホールドがなくフリクション登攀が求められるので難しい。念のため、ここでも遠目の人工支点からPRを出した。
F3(6m):
右のザレルンゼのすぐ側の右壁を直登する。細かいがカッチリとしたホールドを頼りに登る。下部が終わった後はなるべく左へと登ろうとするのがよい。また滝のすぐ右の右壁も登れそうだが、こちらの方が安全だろう。後続にPRを出す支点は、頼りにならない細い木しかないが、お守り程度にここからロープを出した。確保支点に使う木はないが、懸垂下降に使う木はある。
F4(5段5m):
左壁を登る。階段状になっているので、簡単。しかし、滝がたっているので、念のため一年のみ右岸の木を支点に確保した。
F5(2段5m):
二段とも右から直登したはず。記憶が定かでない程度の滝。
F6(5m):
滝の左側の水が流れているところを直登する。うまくホールド、スタンスを使えば、安全にかつ濡れることもなく突破できる。
F7(2段5m+3m):
右巻き。最初の登り始めがクラックをホールドとしてうまく使う必要があり、非常にテクニカルな登攀が強いられる。ただここは、一人が突破すれば、人工支点からPRを出せるので一気に簡単になる。ここでの危険箇所はそれ以降の巻き道。ルートはかなり浅めに巻くルート。落ちたら即死というところをトラバースさせられる。そのトラバース始まりにしゃがみ降りるところがあるのだが、そこに人工支点があるので、まずはそれを最大限に利用する。またこのトラバースの核心部を越えたすぐ後にPRの支点としてうまく使える木もある。その木までは少し登る必要はあるが、階段状で問題ないのでここからPRを出すと、ラストも安全に突破することができる。
F8(10m):
左壁を直登。問題なし。蛇足かな、と思いつつも、あまりにいい木の支点があったので、PRを出した。
ヒエ~大コバ間の4・3・3m:
最初の4mは右から水流中央を直登。がっつりシャワークライムなので、寒さを嫌う後続から非難が集まったが、左巻きは無駄に高巻きになるので、このルートを選んだ。ちなみに左巻きルートには人工支点があった。
次の3m滝、3m滝は連続していてかなりの迫力がある。最初の3mは釜の左側をうまくへつって、左から超える対処で問題ないが、次の3mは難しい。右壁のいくつかの人工支点を使ってなんとか登れるような感じ。3つの人工支点全てにシュリンゲをかけ、手がかりとして完全に頼ってここを突破した。(いわゆるA0対処)今まで、この沢の一番のポイントだといわれ続けていたのに、渇水時の遡行のせいでぱっとしなかった印象を完全に塗り替えてくれました。しかし、それにしても、ラストとして、これらのシュリンゲを全て回収しつつここを突破した北原君はすごかった。ただここは案外、左壁直登も簡単とのこと。水流が強かったせいで、よく左壁を見ずにルートをとってしまった。
F9(7m):
左巻き。上部でのトラバースが少しだけいやらしい。人工支点からPRを出した。
F10(7m):
水流右を直登。余裕。水に濡れることなく突破できる。
F11(20m石棚):
対処は例年と一緒。「滝ではなく左壁を直登。トップはリードし、後続を確保。支点は立木と人工支点を流動分散で。途中がテラス気味なので、まず、セカンドを途中まで登らせ、セルフビレイをさせて待たせて、ザイルの中継係とした。」
追記しておくべきことは、ここでのリードはあくまでザイルダウンの手間を省くための手段であるということだろう。ランナーは4つの人工支点から取れるが、リードのビレイヤーの確保支点があまりよくないので、ちゃんとしたリードは難しい。ただ、高度感はあるため怖いが、階段状なので、フリーでの突破も十分できる。
なお確保支点を越えた先の巻き道ははっきりしているものの、あまりよくない。特に落ち口はホールドもなくすべったらおしまいというところなので、人工支点からPRを出して対応する必要がある。
F12(5m):
左から直登。楽勝。ナンバリングされているのが不思議である。
F13(5mトイ状):
左巻き。巻きの頂点に立ち木があるので、そこに向かって登る。落ち口への下降はなかなか危険なので、その立ち木からPRをとり、懸垂のような格好で慎重に下降する。残置ロープはなくなっていた。
ツメ開始地点:
左が壊れた堰堤を過ぎて、ゴーロを歩くと先にかすかに左から枝沢があるように見える地点がある。実際にはそれは枝沢ではなくワサビ田跡なのだが、とにかくツメ開始地点はそこである。登山道に乗るまでは踏みあとも若干あるので、迷わないだろう。登山道までは時間にすると、10分弱。 
下山道:
登山道を下り始めてすぐのところに大崩壊箇所がある。フィックスロープがあるので、それに頼りまくってなんとか突破したのだが、どうも、迂回路があったようである。大崩壊箇所を尻目に尾根につめあがる道である。ロープもあった。ただ道自体は未確認である。
ところどころ崩壊していて、悪い意味で飽きない登山道。しかも危険箇所も長いので、やはり要注意である。基本的に道には赤テープがあるので迷う心配はない。

感想:
立間大橋から穴の平橋までが車進入不可のせいでめんどくさかった。でもそのおかげで、前夜に、照明あり、自販機あり、トイレありの、道の駅という快適なところでビバークできたのはよかった。ヘッテンなしの飲み会、朝起きてからのコーヒーというもののありがたさが身にしみてしまいます。
小川は本当に楽しい沢でした。危険なところも多いのに楽しかった。リーダーにもかかわらず、常時テンションやや上がりくらいで遡行を終えれた沢はなかなかなかったです。これもよくできた二年生と、ところどころ(主に遡行外で)いい意味でも悪い意味でも盛り上げてくれた一年生のおかげです。
でも関係ありませんが、このPTのレーションの華のなさは異常です。食事を楽しむんだという姿勢がありません。二年生はピーナッツ主体、一年生はカロリーメイト主体…それは非常食です。特に西垣君のは、見た目も中身も、鳥のえさです。




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