【08上皇企画 葛根田川遡行】
※この記録は一橋大学ワンダーフォーゲル部(以下HWV)の部員が記録・作成したものです。主たる対象はHWVの後輩であり、レベルに関する表記などはHWV基準で書かれています。
また、記録対象が「自然」であるため、ここに書かれている記録通りの状態が永続することを保証するものではありません。
日時:
2008年9月7日-9月9日
メンバー:
CL・装備・記録:清水(5) SL北原(2) 西垣(2) 新人:寿栄松(1)、森田(1)
コースタイム:(休憩、登攀とは算入せず)
9月7日 雫石st~(taxi)~▲滝ノ上温泉 9月8日 ▲(0300/0415)―0:45―入渓点(0500/0520)―0:53-大ベコ沢後での釣り休憩(0617/0655)―0:55-お函後での釣り休憩(0750/0915)―0:15-大石沢出合―??―沼の沢手前からずっと釣りながらの遡行―▲中ノ又沢出合(1200) 【行動時間は7:45うち釣りが4時間くらい?】 9月9日 ▲(0400/0555)―0:25―大滝下―0:35―20m滝をかける支流前(0:10)―0:30―北ノ又沢出合―1:25―20m滝前(0900/0930)―1:00―10m上―0:25―ツメ終了―0:20―八瀬森山荘(以降はタイム取らず)―ー松川温泉
記録:
・携帯電話…沢中全アウト。縦走路調べず。ただし、大深山荘では入った記憶あり。
・滝ノ上温泉までのアプローチ…雫石タクシーを使用。ジャンタクで9120円。
・入渓点まで…滝ノ上温泉から続いている林道を行く。途中2008年4月のがけ崩れ(地すべり)で修復された箇所があるが問題なく通過。二か所分岐があるが、いずれも下(左側)が正解。林道が細くなるところで入渓。 以下は『日本百名谷』の遡行図をもとに記述
・入渓~お函まで…水量が少なくても問題なかった。CLは景色も楽しみながら歩いていたが、一年生は余裕がなかったようだ。
・お函…水量が少なく、へつりさえも要らない。
・大石沢出合…非常に読図がやりやすいポイント。ふつうは間違えない。
・中ノ又沢…テント二張りぎりぎりな感じ。テン場は右岸のかなり上に上がったところ。増水にはばっちり耐えられる。
・葛根田の大滝…二段まとめて右岸巻き。登りは楽勝。トラバースも問題なし。下りは最後がクライムダウンになる。
・滝ノ又沢出合…がっつり三張りはいける。ただ少し低め。
・北ノ又沢最初の滝たち…普通の滝登り。特に問題なし。ロープ要らない。
・20m…記憶よりはるかに簡単だった。というか二年前の対処が間違っていた。あんなスラブの岩を登る必要なく、トラバースして上にあがるだけ。一年生の経験のためにフィックスにヘッドオンで登らせたが、必要なし。右岸を上がり小尾根(これを超えると支流が並走している)に乗り、少し上がる。そこからトラバースし、あとはササ藪をゼンツ。落ち口付近に出られる。
・10m…下部は左のクラック状を登る。上部は泥壁なので、うまく木を使って登る。後続にはPR。
・ツメ…読図をきちんとすれば問題なし。それよりも草原に出た後の登山道に乗るために注意が必要。
感想:
ことごとに雨にたたられて(ゲリラ豪雨だけでなく、普段の雨も)、プレとして予定していた竜喰谷(CL安井)と尾白川中流域(CL安井)に行けず、急きょ、遭対をなんとかしてプレなしで行きたかったが、さすがにということで「沢歩きの確認=高尾小下沢(安井不参加)」快晴、「登攀の確認=B-PUMP」という強引なプレで納得させ、葛根田川に行ける条件は整った。しかし、葛根田川の準備会(2日)にNが現れない。この日に京都から帰ってくるはずのNが現れない。「何かやってくれる男」Nが現れない。仕方なく、みんなでNの悪口を言いながら、大戸屋で夕食を食べているとCLの電話が鳴った。
「着信 N」
CL 「は~い。いったいどうしたのかな?(怒り気味)」
N 「今から言うことはネタではなくて、本当ですから」
CL 「どうした?」
N 「変える途中で体調が悪くなって、藤沢駅から救急車で運ばれて今入院しています」
CL 「病院について連絡してください」
結局、急性胃腸炎とのことで4日退院となりました。この原因にはついてはコメントを差し控えさせていただきます。 天気とも相談し、結局7日発にすることにした。 後ろに山小屋が控えているので、山中には最高三日しかいられない(この場合は帰京の翌日山小屋へ出発)。リーダーズ間では、前夜発1泊2日で滝ノ又沢出合に泊まり、松川温泉に下りることを確認する。 7日は始発で一路盛岡へ。乗り換え案内では出にくいが、仙台から小牛田行きに乗ると1609に盛岡に着けるとわかっていたので、それで。途中仙台ではCLが抜群の嗅覚を発揮し、松屋を探し当てた。仙台の松屋はメニューがかなり豊富だった。前日睡眠40分の森田は爆睡を決め込む。Nは膨らます式の枕を車内で発動し、がっつり寝ていた。さすがにNは違う。それは車内で弁当だって食べるわ。 盛岡に着いたら、一年生は買い出し、二年生は?、CLは下山後の下見(銭湯・居酒屋・カラオケなど)。18時に再び集合して、雫石へ。 駅に着いたら、交番(徒歩10分?)へ。いつもは長時間かかる提出が音速で終わる。04年には存在し、06年にはつぶれていたスーパーが「業務スーパー」になっていた。くわしくはこちらへ。
タクシーはドライバーに「五人いける?ジャンタクかな?」というと「今から持ってくる」と言って、ジャンタクになった。小型しかない以上仕方ない。9120円。 滝ノ上温泉に着いたら、ドライバーが「どこまで行く?」と。「キャンプ場までお願いします」というと「トイレの横で寝ちゃいなよ」とアドバイスをしてくれた。たしかに、トイレの横は反則スペースでここで就寝。寝る前にテン場を見せようと、二年生二人を連れだす。キャンプ場を確認した後で、ヘッ電を持ってきているのが自分だけだと気が付き、暗い夜道でヘッ電を消した。しばらく歩くと 「ちょっと~勘弁して下さいよ~。も~」 何かやってくれる男Nである。どうやら暗闇が怖いらしい。へ~ 後は宴会をして就寝。 朝は3時起床でヘッ電歩き。橋のたもとで白いランクルらしき車がある。CL「これ昨日なかったよな?」。 崩壊地も難なく超える。林道が右岸から左岸に渡る橋では読図訓練。途中で上に行くルートがあるがここは沢を渡る左へ。次の分岐も上へ上がらずに下へ。 入渓点に着いたら、CLトイレタイム。川原でことを済ませて、戻ると何やら人数が増えている。別のグループがいた。その先でおっぱじめていたら大変な事態になるところで危なかった。まだ何もコミュニケーションをとっていないとのことなので(これだからゆとりは…)、CLが話しかけに行く。都立大ワンゲル(「首都大」とは名乗らなかった)で滝ノ又沢出合で泊まる予定とのこと。「うちと一緒ですね」と軽くけん制を入れた。 オーダーはCL―寿栄松―西垣―森田―SL。長い河原歩きは結構飛ばしたが、後ろは問題なく着いてくる。さすがだと思っていたら、「景色が全然見られませんでした」とのこと。すまん…。 読図をしまくっていると都立大に抜かれた。この時点で気持は萎えて、中ノ沢出合泊も視野に入れ始める。河原歩きは順調だし、天気もいいし、時間もあるし、滝ノ又沢には先には着けない。ならばと、少し釣りに興じる。CLが一尾上げると、後ろから「ランクル二人組」がやってきた。彼らは釣りとのことなので、大石沢に入るとのことで抜いてもらう。これで腹が決まった。 新たな出合いを求めて一緒のテン場もおもしろいが、せっかくなので独立でたき火や幕営をしたかったので、上級生で話し合い、中ノ又沢で泊まることにした。決定した後はひたすら釣り上がる。しかし、本流はまったく出なかった。CLは五年生特権を発動し、まっさきに上がる。今日は本流の調子が悪そうなので、中ノ又沢を上がってみた。四年前とは違ってなかなか状態が良く、結局3尾上げて下りてきた。 あとはひたすら釣りタイム。 技術担当の寿栄松は驚異の粘りを見せて4尾を上げた。 体力担当の森田は強引な力を発揮し、2尾かけるがいずれも落としてしまう 釣り担当の北原はみんなに世話を焼いて、本人釣らず ネタ担当のNはもちろん釣れず、釣りに飽きて焚火に挑むも点けられるず SLとNが焚火に拘るには訳があった 「水浴びします」 なるほど。 というわけで彼らはパンツ一枚で飛び込みました。 そして、焚火でせっせとパンツを乾かしていました。 結局岩魚は6尾焼いて食べました。本当は醤油があるはずでそれなら刺身にできたんだけど… 焚火を囲んでの宴会は8時過ぎまで続きました。 翌日松川温泉に下りることをパーティー全体で確認し、明日の夕食のカレーの材料の一部を明日の朝食に流用することを確認した。 朝は4時に起床。5時出発が目標であったが、朝から玉ねぎも入ったカレーうどんを作るのに思いのほか時間を取られて、6時前の出発となった。オーダーはCL―森田―N―寿栄松―SL。 大滝も難なく巻く。その後滝ノ又沢出合前でトイレタイムを取る。 この先はCLが道を間違えまくる。もちろん、わざと。滝ノ又沢にさりげなく入ると、SL以外は誰も気にとめることなく着いてくる。 「お前ら!きちんと周りを見とけよ」と言って本流に戻る。 そしてもちろん北ノ又沢に入る。しかし、SL以外はまたもやだれも気が付かない。 「学習しろ!」と言って本流に戻る。 北ノ又沢を分けた後の「石滝続く」はガンガン高度を上げる唯一の箇所でなかなか楽しい。んで、こっからが意外に長い。二時間休憩なしでぶっとばて20m手前で長く休むつもりだった。結論から言うとこれが失敗だった。後ろが「休憩下さい」も言わないから、どんどん歩いていたら、のちの縦走路で自分がバテる原因となった。ちなみに1:1の枝沢では例によってわざと左に入ったが、だまされたのは森田だけであった。 20m10mの対処は前述の通りである。その周辺の釜では 「N君のへつりが見たいな~」 という無茶振りをして、彼が水に浸かる姿を一同楽しませて頂きました。 後はツメ。途中CLの記憶違いで微妙に違う沢に入ったが、SLの機転で修正する。というか間違えた出合まで戻った。八瀬森山荘ではなんか一年生のお楽しみが出たような気がするが覚えていない。そういえばここは東北であった。 あとは下山。ここでの教訓はただ一つ エアリアは最新版のものを使用すべし! 松川温泉は日帰り入浴500円。この夏で8個目の温泉であるがここが一番良かった。ただし、温水シャワーがないので、風呂に入らないといつまでも硫黄くさいという欠点はある。 松川温泉からはジャンタクで大更駅まで8420円。そこから盛岡へ。 盛岡では「夕食は個人プレーOK」としたが、みんな一風堂へ行った。打ち上げは千年の宴。みちゃ似に一人テンションの上がるMをしり目に「店員なら女性でも絡めるCL」が切り込むが撃沈。嘘です。何もありません。 その後はオープン記念で激安のカラ館で朝までカラオケ。Nはなんか聞いたこともないようなアニソンを一人熱唱していた気がする。帰りも鈍行で。
メンバー記録
<SL>
(1)沢の感想
かつて行った沢の中で一番美しい沢だった。岩が白い所が多く水の色が本当に美しい。 なにより天気が味方してくれたことが大きかったのかな(?)
(2)下級生について
1年生に関しては本人の反省点とほぼ同様だが、やはり行動が遅い。常に「今なにをすべきか」を考える必要がある。 森田のバテたという反省があったが、おそらく荷物の重量に問題があると思う。今回はあえて重くしたのだろう。 おそらく寿栄松も西垣も同じ重量だとするともっと早く足にきていたのではないか。 寿栄松に関して言うと足を置く場所がちょっとお粗末。才能があるが故にそうなるのだろうと思うが、気をつければ最強。 西垣君は読図をもう少しがんばってほしい。しかし今回はペースが早かったし、トップでもラストでもなかったので地図 を見るのが困難だったというのもあると思う。それ以外は何の文句もありません。
(3)SLとして まず、最悪だったのは地図を紛失したこと。これは完全にリーダー失格だろう。これ以降、落とさない工夫をせねばならない。 次に自分の不注意で膝を打撲したこと。遡行中でないことは大問題だと思う。迷惑をかけて本当に申し訳なかった。 その他に関してはCLとの意思疎通はほぼうまくいっていたと思う。まぁ師匠が清水さんだから考えることも同じで当然なのかな。 ただ、清水さんに頼りすぎていたのは毎回同様の感想。
<西垣> 規模が大きく、水がきれいで癒しの空間でした。 ナメ床に目がない私にとってナメの連続はもうパラダイスです。 あと二年目にして初の沢合宿でしたが、沢合宿についてくるたき火がもう言葉に言い表せない安らぎを与えてくれました。魚は釣れませんでしたが、食べれたので大満足です。 私が現役のうちにぜひもう一度はいきたいですし、もちろんそのときは今回いけなかったルートで遡行したいです。
<森田> まず準備に追われて出発日前夜に40分しか睡眠時間がとれず、それが全体の疲れ、テンションの低さに影響した。 着替えを多く持っていった&完全防水により、夏合宿のように臭いには苦しまなかった。 行き帰りの乗り換えは調べておくべきだった》準備不足。 寒い時は迷わずシュラフを使うべきである。 全体を通して準備をより早く》パッキング能力の向上、優先順序の意識。 みそ、醤油、塩を忘れた。 釣りが下手。 料理の作り方をもっと調べる》準備不足。 ポリタンの水をテントにこぼした。焦りすぎ。食当の存在意義を正確に理解していなかったことに起因。 時計安物すぎ。 縦走バテすぎ。トレーニング不足&ペース考えろ&調子に乗るな。 レーションまた足りず。 読図どうしよう。 天気図も忘れてるかもしれない。
<寿栄松> 絵に見るようなキレイな沢で、できることなら立ち止まりながらじっくり見たかった。今回初めて渓流釣りに挑戦したけれど、うまくいってすごく楽しかった。釣りは無心になれていいと思う。たき火も初めての体験だったが、先輩がたき火を好む理由がわかった。火を囲んで宴会をしているとき、はるばる岩手まで来てよかったと思った。 ただ下山には苦労した。ツメで疲れたところに悪路続きでうんざりさせられた。ああいうときに怪我が起こりやすいのかもしれない。実際、最後に森田が橋から小川に落ちかけた。オーダーが違えば自分が落ちて怪我をしていたかもしれない。最後まで集中力切らさないように意識し、危ない箇所ではほかのメンバーにも注意を促していきたい。