【07年沢初め 軍刀利沢遡行記録】
※この記録は一橋大学ワンダーフォーゲル部(以下HWV)の部員が記録・作成したものです。主たる対象はHWVの後輩であり、レベルに関する表記などはHWV基準で書かれています。
また、記録対象が「自然」であるため、ここに書かれている記録通りの状態が永続することを保証するものではありません。
メンバー:CL・記録 安井(3)SL・装備 清水(4)医療 小幡(4)
日程:4月10日
武蔵五日市のコンビニは6時半からです。そのせいで僕の朝ご飯は非常食用の粉々になったカロリーメイトになってしまいました。2年間近く一緒に山に登ってきたカロリーメイトとこんな形でお別れになってしまうとはまことに悲しいかぎりです。
▲7:10~8:00 南郷バス停から入渓まで
驚きだったのが、(平日の)朝のバスって予定時刻より早く目的地に着くんです。そのせいで南郷を少し乗り過ごしてしまい、カーブ二つ分歩く距離が長くなってしまいました。そんなこともありながら、入渓点まではなにかの学校みたいなとこから林道に入り、15分くらいで落合橋、その後30分くらいで順調につきました。入渓点には記述通りに林道の右側を流れる沢に新たな支流が流れ込むところでその支流を覗き込む林道のすぐそばにはっきりした踏みあとと赤テープがまいてある木がありますのでまずまちがわないと思います。
▲8時40分遡行開始
2.(4m2条滝)左からという記述を信じて左からの巻き気味のルートをとったら死にかけました。傾斜はそんなにないものの落ち葉が多すぎて足の踏み場がわからず、微妙に足をすべらしたりで危なかったです。個人的にはここが一番こわかった。後続の人はわりとサクッと右から登ってきたので、ルーファイミスでした。反省。
3.(5m逆く字滝)左からで問題なし。
(1Mチョックストーン)必要なのは水にぬれる覚悟です。
4.(8mナメ)結局僕らは気温的にぬれたくなかったんで、1Mチョックストーン前の右からの巻き道を使って二つまとめて高巻きました。この巻き道は踏みあとがなく、落ち葉だらけであったので自分たちが通った道が正解かどうかはわかりませんが、僕らはあまり高度を上げすぎずに左に沢を見ながら通る道を使いました。落ち葉のせいで滑りやすくなっており、道もグズグズだったのでこの巻きもけっこう怖く、個人的にはここが二番目に怖かった。ちなみに8mナメ滝は遠くから見たぶんには傾斜はゆるくても高度があり手がかりがなさそうだったので直登は難しそうに思えた。
5.(2段10m)右から巻くのだが、ここには残置のフィックスロープがあるのでそれを利用する。ルートはロープの結び目まで登り、滝の落ち口にかけてロープを使いながらトラバースする道をとる。このロープは綱引きのロープくらいの太いやつなので、強度的には安心感があるし、このトラバース自体も細かく足をかけるとこがあるので、丁寧に進めば問題ない。
7.(5mナメ滝)ここまでのルートでちょっと疲れてたせいで、ちら見で巻き道をとりました。ただ直登もなかなか歯ごたえがありそうでした。
▲10:00~10:20 休憩
ソーセージをノリで巻き、普通なら梅干しが入っているところにマヨネーズが入っているアクロバティックでファンタスティックなおにぎりを小幡さんに頂きました。こうやって記録に残すことが僕にできる最大のお礼です。本当にありがとうございました。
▲10:20 遡行再開
(5m滝)2段になっているが下段があまりしっかりしたホールドがないため手と足を突っ張るように登ることになり少し難しい。上段も木の根っこをつかみ力づくで登る感じになるが、こちらは安全に左からまき気味にのぼることも可能。もとは巻くことを考慮していたのだが、そちらの方が高度が出て危ないというのと、滝の直下が釜になっていることもあり落ちても安全だという観点から直登を選択。でも途中でびびり後続は確保することに。しかし支点が遠くからしか探せなかったので支点構築に30分くらいかかってしまう。待たせるほうより待つ方が時間って長く感じるものですよね。遅刻はよくない。わかってはいるんですけど。
8.(6m滝)水流右側を登る。僕は前半はハーケンにシュリンゲをかけそれを手がかりとして登り、後半も3点支持を守るようにして登った。足場をちゃんと見つけながら登るのが大切。後続はパワーロープで補助。難易度はここが一番だという評価の声もありました。
10.(10mナメ滝)登れるもんなら登ってみろ。右から巻きます。
▲11:50~12:10
10.のあとすぐの二俣で一休み。しかし、ここは東京周辺の沢で書かれている二俣ではありません。その二俣はこの二股を左にいったときに見えてくるやつです。指示語ばかりでわかりにくいですね。でもコンパス使えば大丈夫。あと水はこのへんで汲んでおいた方がいいかも。最後の方は水がにごってきますんで。
▲12:10 遡行再開
ここからはこの沢は読図の練習の沢となります。ただし、たまに小滝があるんで飽きがこない作りになっています。最後のつめはつめって感じでしんどいです。そして、最後の最後の分岐は左です。覚えて置いてください。そうすればあなたの目の前には三国峠の看板があります。
▲13:00~13:40 三国峠で休憩
休んでいると捨て犬がやってきました。「狼だって生きていけない」そんな厳しい野生生活を彼は乗り越えていくことができるのでしょうか。
▲13:40~14:30 下山 石盾尾神社バス停着
まとめ:
沢初めとしてはかなりいい沢だと思います。景色も開けている感じがしてきれいだったし、登攀の確認としても適切なレベルだし、読図も25000図にでてくる沢筋のほとんどがはっきり認識できるためきれいにできる。ただ巻きに関しては高度があり、道が少しグズグズなとこやフォローしづらいとこがあるので、たとえば新入生を連れて行くとかは相当の覚悟と準備が必要だろうと思う。だけれど、それでも連れて行きたいくらいの魅力を僕は感じました。
SLコメント
こんなにすばらしい沢がまだ、あの山域にあったことに感動した。
やはり山においては天気が最重要なのだろう。