05GWトリヤマチ


5年度HWV記録

GW特別企画 鳥屋待沢左俣遡行

1.メンバー

CL:高野()  SL・装備・記録:清水()  気象:小幡()  医療:真船()  顧問:高橋氏(4)

 

2.行程概要

 5月7日 本厚木ST~煤ヶ谷BS―0:25-▲鳥屋待沢出合(権現橋)

 5月8日 ▲―0:20―清川宝の山道標(休憩10分)―1:00―二条5m前(休憩15分)―0:15―10m(15m)大滝下―1:10―トイ状の上(休憩15分)(右からナメ滝が入るところ)―1:55―10mスラブ状―0:25―二段4m下(休憩0:10)―1:40―ツメ開始―0:40―尾根~(タイムとらず)~広沢寺温泉入口BS  (7:25+α)

 

3.問題点と対処(下降は~とあるのは、下降するなら~という意味。)

 ・携帯電話…煤ヶ谷バス停では入る。谷太郎林道は割りと早めに入らなくなる。もちろんそれ以降は沢中を含め全滅。三峰山からの尾根ではところにより入る。

 

 ・ヒル…やはり多い。きちんと対策すれば被害を最小限に食い止めることが出来る。

 

 ・岩の状態…青い特徴的な石があり、これは良くフリクションが効く。ただ、明らかに滑りそうな赤茶けた石もある。

 

 ・斜面の状態…ぐずぐずで、落石の起きやすい斜面。054月に右俣の源頭部で死者が出たのも不思議ではない。

 

 ・遡行図講評

  東京周辺の沢…総合すると一番ましかな。

  丹沢110ルート…ちょっと細か過ぎて確認がしにくいところもあったが、問題はない。

  関東周辺50ルート…一番新しいはずだが、ちょっとわかりにくい。特に水量比は疑問が残る。また、右俣に行っているだけあって、下部ゴルジュ帯を「幕岩」のように紹介している。

 

以下は滝の対処や気付いたことであり、遡行図は「東京周辺の沢」、「丹沢110ルート」、「関東周辺50ルート」を併用している。

 

・権現橋から入渓点へのアプローチ…最初は林道歩き。少し行くと左岸に渡渉。そのままでかい堰堤を右から越す。ダム湖はもはや干上がってただの川原。そのまま道なりに行くと右岸への渡渉となり、「清川宝の山」道標が見える。そのまま沢沿いに行って、手ごろなところから入る。

 

・220mあたりで出会う右からの枝沢…確認できなかったし、遡行図にも記載されていない。

 

 ・2m…CLは中央突破。後続は左から巻く。

 ・3m(110・50ルートではきちんと堰堤マークだが、東京周辺では滝マークになっている壊れた堰堤)…左から巻く。巻き道には黄色杭がある。

 ・①二条5mナメ(F-5m、4m幅広二条)…左から超える。特に問題なし。下降はクライムダウンだろう。

 ・沢が左に曲がるところ…多分390mだと思われる。

 ・三段7m(F-3段7m、7mS字状)…左壁とのルンゼから超える。軽く超えてしまって、滝の全容は把握していない。下降はクライムダウンだろう。

 ・②10m大滝(F-10mF-15m)…右岸から巻いた。ルンゼを少し登り斜面をトラバースして、落ち口の上にでた。左岸も偵察したが、落ち口への降りが少し悪い。力のあるPならどっちでも巻ける。直登はそもそも考えていなかったが、フリーで登る気はまったくしない。下降は左岸懸垂か?

 ・3m・4m・3m(2m・4m・3m・3m、3m(一枚岩))…一箇所だけ、手こずり、胸フリクションでマントリングしたところがあった。下降はなかなか難しいかな。うまければクライムダウン可能だが…

 ・③トイ状(トイ状の小滝の上の4m→110ルートでは写真付で出ている)…胸まで浸かり、釜を過ぎて水流の強いところを登る。多くの記録で「ツッパリを要するところ」とされているところであろう。突っ張りは胸まで浸からないための釜の突破のために使用するのであろう。左岸巻きの情報もあったので、偵察したが、取り付きが微妙だが途中までは行った。記録通りにまったく頼る気のしない白ロープがあった。下降は左岸懸垂かな。

 ・立ち木に赤ペンキ…777のピークから降りてくる道のためにつけられているのだろう。

 ・④5m(F4-5m、5m二条)…左のカンテから越えた。細かいのを拾えば問題ないが。

 ・二俣…左俣は伏流している。ケルンが積んである。530~540mだろう。このあと水は汲みにくいので、右俣を分ける前に汲んでおいたほうが良い。

 ・2m・3m・4mナメ滝(トイ状2m・3m・4m)…二人が左を浅めに巻く。三人は右のルンゼ状から取り付き、木の根の生えたリッジを越えた。下降はクライムダウン。

 ・幕岩…この沢の象徴的な存在。通過はまったく問題ない。

 ・10mスラブ状(F-10mスラブ状)…巻きを探したが見つからない…。右のルンゼ(凹角岩)から巻いた記録もあったが、ちょっと厳しそう。右岸も見つからない。仕方がないので、全員フリーで突破。滝の真上に立ち木があるので、そこから支点を取っても良かったが、そこへのアプローチが微妙なのでしなかった。これは判断が分かれるところだと思う。所々ハーケンがあったが、きちんとリードするならハーケンを打ち足したほうが良い。どなたか落ち口のあたりにボルトを打ってくれるといいんだけど…。

 ・次のゴルジュ…特に問題はないが、落ち葉で埋まっている釜が以外に深いので注意。

 ・CS(二段4m)…左からフリーで越えた。

 ・5mハングの滝(F-5mハングの滝)…左岸から巻いた。やはりぐずぐずだがしっかり蹴りこんで、落石に注意して慎重に巻けば問題なし。

 ・F-3段7mスラブ状…明確にどれをさすかはわかないが、おそらく三段目をF8と一緒に左岸から巻いてしまったと思う。

 ・⑪12mハングの滝(F-12mハングの滝)…一つ前の滝と一緒に左岸巻き。

 ・3mCS…右からフリーで越えた。

 ・ツメ…3mCSを過ぎた後はしっかり読図して、本流を行く。すると(おそらく)遡行図通りに左に行く(もちろん枯)枝沢があり、その上は空が見えており、明らかに登山道がある。少しその枯枝沢を登った後右の枝尾根に乗り直前までそのまま、最後に少し左に行き、登山道に上がる。ぶちゃけ、かなり悪い道。しかも、落石を連発して後続パーティーに迷惑をかけた。

 ・登山道…鎖場や木のハシゴがあり、慎重に行くべき。

 

4.状況・感想

 今年のGWは他山域には拘らずに、一級上にしようということで鳥屋待沢左股に行くことにした。

17時本厚木集合。顧問はなんと二時から本厚木にいて、探索していたらしい。ローソンで買い物をして上煤ヶ谷バスで煤ヶ谷バス停へ。CL清川村役場で出すつもりのようだったが、エアリアに「届」マークがあったので、そこで出した。登山計画書ボックスにはヒルに対する注意喚起があった。やはり多いようだ。谷太郎川の林道は普通に歩けるが、車のすれ違いは面倒くさいだろう。権現橋の周辺は薄暗く、じめじめしていてヒルの宝庫っぽい雰囲気を醸し出している。湿気レーダー清水の髪はすっかりヘタっている。テン場探しのために念のために左右両岸ともに少し登って偵察したが、出合付近が一番のテン場だと判断し、張る。少しすると子供のムササビを連れた獣医の方が現れる。先日このあたりで保護されたようで、親を探しているとのこと。さらに昨日の雨でヒルが活性化しているというありがたくない情報をいただく。夕食を適当に食べて睡眠体制に入るが、恐れていたヒル発見。一通り騒いで、退治して、寝る。うそ。寝られない。テントの入口に入りたがっているヒルが数匹。 以外にも防寒対策が甘かった顧問はなかなか寝付けなかったようだ。

 朝4時起床。適当に食事を取り、4時55分発。前回の熊倉で準備について指摘された真船の準備が早い。

 さて、オーダーはCL―SL―小幡―マフネン―顧問で出発。林道右岸を少し行って、左岸に渡渉(問題なし)。そのまま問題なく堰堤を越える。少し、道を行くと方向が分かりにくくなってきたので読図。ばっちり鳥屋待本流の横を来ている様だ。さてもう一回右岸に渡渉(問題なし)。すると、清川宝の山登場。遡行図を見ると、これを巻くようにしているので、テープに従って小尾根に乗る。しかし、これが大失敗。ぐずぐずの斜面を何とか降りて沢へ。ここは道標が見えたらすぐに入渓して良いようだ。そして、この小尾根は777ピークへ乗るためのみちなのだろう。ちなみに途中尾根上で催してきたSLが雉うちへ。さて沢歩き。なかなかのペースでとばし、①で休憩。何やらトップとセカンドが疲れている。リーダーズなのに不思議だ。SLは自覚がなかったが、顔面蒼白で脂汗をかいているらしく、トイレに数回行ったことを考えるとどうやら体調が良くなかったようだ。休憩中はみんなヒル探し。特にラストの顧問は数匹ついており、すでに一箇所吸われていた。防虫スプレーと塩でばっちり対策しているSLには被害なし。少し行くと①(F1)で、問題なく越えると沢が大きく左に曲がり右からは支流が入ってきた。ここはおそらく390mだと思う。三段7mは左から問題なく越え、大滝!CLが右岸を、SLが左岸を偵察に。左岸は途中までは問題ないが落ち口がちょっといやらしい。もしかしたらもっと大きく巻くのかもしれない。しかし、右岸は問題なく巻けるとのことなので、戻って右岸を巻くことにする。この巻きは落石に注意すれば問題ない。いよいよ楽しいゴルジュ帯に突入。2個くらい楽しく越えた後、トップが手こずる。ここは特に巻いた記録とかはないはずだが…。試しにSLが行くと、胸フリクションを使って突破。以外に楽しい。後続も続く。しばらく行くとトイ状小滝のうえの4m。胸まで浸かりそうなのでSLは巻き道を探しに行く。上り始めると、腐った白ビニール紐(?)があったので巻き道と確信。しかし、下からはCLが突破したから戻って来いとのこと。慎重にクライムダウンして、戻り、濡れて突破。ここは胸まで濡れないようにツッパリを使うということだろう。通過後みんな濡れたということで、エネルギー補給のための休憩。

 しばらく歩くと立ち木に赤ペンキ発見。読図をしても777から降りてくる小道のマーキングだろうと思う。黒い滝はどれか分からなかった。続いて④は左のカンテより。踏ん張れるところがあったので、小幡のためにお助け紐を出す。ちょっといくと二股。左から大きな滝が落ちており、左股には水がなくケルンが積んであるので、すぐにわかる。すると、3m4m3m(2m3m4m)。一見するとどこも行けなそうに見えるが左巻きを小幡が偵察に行くと行けるようだ。しかし、右のルンゼからのルートも行けそうなので見てみるとあっさり越えてしまう。この小ゴルジュを抜けるとすぐに幕岩登場。一同自然の造形美に我を忘れ…なかった。CLはきちんと写真を撮っていたが。ちょっとした倒木帯を抜けると⑩10mスラブ(F5)。左右両岸ともに巻きを探すが見つからない。遭対的には「左のブッシュから」だったはずだが、取り付きが分からない。しかも、上に上がるにしたがってさらに悪くなるのが見て取れる。どうしたものかと思っていたら、ワンゲルの暴走王真船が水流左側を途中まで登ってしまった!おいおい…ザイルもってないじゃん。そこから降りさせるのは酷なので、下から8割くらいのテラスで待たせ、CLが行く。最後の2割はCLが突破する。しかし、CL曰く適切な支点がないそうなので、全員フリーで登ることにする。テラスに一人残り後続に指示を出す形にして、順番に登る。最上部ではお助け紐をだす。SLも掴むだけでテンションはかけなかったが、完全フリーで突破したCLはすごい。上に着いた顧問からは上の支点から確保すべきとの注意があった。ただ、そこに行くまでの斜面があんまり良くないので判断は分かれるところであろう。このあたりで汚いながらも水を汲む。しかし、この水は飲まれることなく、広沢寺温泉近くで捨てられることになった。

 次のゴルジュでは見た目浅そうな釜に真船が腰まで浸かる。本人はきちんとそれを後ろに伝えたが、好奇心旺盛なCLは自ら入り腰まであることを確認していた。次のCSは左。しばらく歩くと5mハングの滝(F6)グズグズの斜面を右から越える。ちょっと行くと⑪12mハングの滝の一個前の滝に着く。これを越えると⑪の巻きがめんどくさそうなので、これごと全部巻いた。巻きは例によってぐずぐず。途中何箇所かでお助け紐を出した。最後の3mCSは右から。

 そして、ツメ!!読図をしっかりやってきたので本流を来ていることは間違いない。しかし、どのルンゼかどの枝尾根から上がればいいのかわからない。休憩がてら偵察に行く。そして、後続の2人Pに抜いてもらう。その結果ケルンが積んであるルンゼを少し上がり、右の枝尾根に乗ってしまうのが一番良いとの結論に至り、出発。途中まで上がったところで、真船がズルッといく。普通に止まった。尾根に乗ってからはトップとセカンドはバンバン行く。すると、後ろの顧問からもっとお助け紐を木から出すようにとの指示が出た。半分くらい上がると、後ろから4人Pがやってきた。これでいよいよ落石起こすのが洒落にならない事態となる。彼らはすぐに我々の後ろまでやってきてくれたので、一安心。最後の登山道への一押しも大分悪かった。ちなみに我々は三峰山には行かなかった。

 登山道に上がってもなかなか沢装備を解除できるような広い場所がない。10分くらい歩くとみなヒルが気になるらしく、解除したいそうなので、広めの場所で沢装備解除。CLのお楽しみウイロウ炸裂。結局、ヒル被害は顧問二箇所・真船二箇所・小幡一箇所・リーダーズなしということになった。

我々がくつろいでいると何やら後ろから声がする。中年のおばちゃんの登場だ~!すると彼らはなんと仕事道らしき踏み跡方面に行こうとしている。すかさず地図を見て、正しい方向を示してあげた。これが噂の中高年の無謀登山かと思った。この登山道ならせめてエアリアは必須でしょ!

 真船―SL―小幡―顧問―CLで降りる。途中で鎖が何箇所かあったが問題なく通過。何とか不動尻まできたが、このあとは車道歩き。わいわい騒ぎながら降りる。広沢寺温泉玉翠楼周辺で下山電話をする。しかし、ここからまだ歩く。なぜならバスがないからだ。しばらく行くと、なんとそこにはズンドバーが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

辺鄙なところにあるとは聞いていたがまさかこんなところにあるとは驚いた。非常に行きたい気分であったが、さすがにあんなお洒落なラーメン屋にこんな汚い・臭い・髪ぼさぼさの3Kスタイルで入る気もしないので、反省会は本厚木のマックで。帰りのバスでは広沢寺の岩場帰りのクライマーや地図なしおばちゃんなど多数がいた。今度は広沢寺でクライミングしてズンドバーで食べると誓った。

 

5.リーコメ

 CL…テントは右岸にしか張れなかった。遡行図に頼りすぎるのはよくない(道標付近)。巻きはなるべく小さくすることを肝に銘じておく必要があるだろう。ロープの出し方に関してはメンバー間で共有させといたほうがよいです。10m大滝で滝の上下間でコミュニケーションが取れなかった。これは危ない。ここも前もってコミュニケーションが取れなくなったときのことを想定してやるべきことをパーティー間で確認していくことの重要性が目立った。突破力。これは特に解決できる問題とは、思わないので何も言わない。

指示がよくできていなかったので、メンバーが勝手に滝を登ったのは私の責任であろう。ただあそこは、巻くのが正解とも思えないので、トップがフリーで行くしかなかった。それよりも、ためらいなくロープが出せるような雰囲気や認識が必要であろう。ツメも危険であったし。読図がきっちりきまったことは評価に値すると思う。あんな沢とわかっていたら遭対通らなかったかもしれないが、予想以上にレベルの高い沢に行くという意味で良い経験になったのではなかろうか。

 

顧問…前半は問題なし。水につかりながら突破したり楽しめる。溝深いゴルジュもなかなかいい雰囲気。問題は後半、二股を分けたあたりから。10m滝上部は直登し かなく、かなり怖い。その後は巻き中心。巻きはザレザレで強く踏み込まなければ簡単に崩れる。特にザレのツメはレベル高し。一歩踏み間違えば真っ逆さま。 確実に死ぬ。後半部は日帰り2級レベル。




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