2006年度文部省登山研修の記録
※この記録は一橋大学ワンダーフォーゲル部(以下HWV)の部員が記録・作成したものです。主たる対象はHWVの後輩であり、レベルに関する表記などはHWV基準で書かれています。
また、記録対象が「自然」であるため、ここに書かれている記録通りの状態が永続することを保証するものではありません。
文責 安井 教祐
まず大変なのは装備をそろえることでしょう。ただ、カラビナ、シュリンゲ、ハンマーは貸し出してくれます。修理用品だとかも基本的には班で一つ持ってけば、いいや的な展開なるんでいらないかも知りません。僕は夜行列車で富山入りしました。めちゃくちゃすいてるんでアプローチにはおすすめです。それでは順をおって記憶を思い起こします。
1日目
前夜泊していない人たちはここで初顔合わせ。そして班ごとにきめられた場所に集まります。そのあとは開会式やら装備チェックやらプラン計画やら食事計画をして、午後は授業もやりつつ軽くロープ講習。基本的に本格的に岩をやっていない人以外は初心者とかもまざってるような班になるようなので八の字結びやら、支点工作の基本からやってくれます。初めての人とかは結構時間かかるんで僕はこの時点ではニヤニヤしてみてたわけですが
2日目
朝から授業なんで普通に眠い。班のガイドの人の視線だけは気をつけつつ寝ればよし。そして僕らはその後、本格的なロープ講習に入りました。リードとセカンドを交代でやって人工壁を登り、懸垂でおりるというのを繰り返します。一度だけピッチ登攀もやりました。トップが途中で支点をつくってセカンドとトップが逆転するやつです。ここで勉強になるのはロープの扱い方です。40人近くが同時に人口壁を使うし、ダブルロープなもんだからてんやわんやでロープをからましてしまったりしまうからです。それから共同装備、個人装備を借りて明日の準備をします。ぼくは同室のやつらが「早く山に入りたい」とか言いだしたのを聞いて別世界にいることを感じつつ就寝しました。ちなみに多少、レーション足りない時は駅前の食料とかの注文をすることになる雑貨屋とかがあいてるんで買い足しましょう。
3日目
荷物を抱えながらロープウェイとバスでムロドウまでアプローチ。なぜロープウェイを使うのかは政治的な問題。この日は前進基地まで移動するのがメイン。ただそういう空気読まずにとばすやつがいるから気をつけよう。僕らはそういうやつのとばっちりで早く着いたから、雪上訓練をやった。アイゼンをつけてピッケルをもって雪渓上を登ったり下ったりした。このへんから僕は笑えなくなってくる。メンバーのなかで二人だけの雪上未体験ということで、転び方から教わる。ただこれが意外と楽しい。このときはまだ明日の地獄を知らなかった。
4日目
朝一の出発で剣沢雪渓を下る下る。雪渓を下るのはひざにも負担こないし気持ちよく真砂沢ロッジまで下った。ここまでで2時間ぐらいで800M高度を下げる。それからは南股を二俣まで遡行。たまに雪渓上を通るが基本は土の上を歩行する。二股からは北俣雪渓をガンガン登る。景色があまりにかわらないなかを前の人の背中か足元かを見るだけで進んでいくのはストイックすぎです。池の平小屋前の急登は覚悟して置いてください。ここで俺は完全につぶされてここからずっとみんなのペースストッパーをまかされることになりました。まっ、なんやかんやで小窓泊の予定が三の窓まで行くことになりましたとさ。だいたい三時くらいには着いたはず。疲れ果ててついたら急に雨降ってきたんで、三の窓前のガレ場でふらなくてよかったね、みたいなことをしゃべりつつ雪をとかして水を作って寝ました。
5日目
剣の怖さこっちの日のほうが感じました。カニの横ばいやらタテばいやらも鎖はあるもののかなり渋く感じたし、とちゅう、落ちたら必ず死ぬ谷をフィックスで横切ったり、すべってしまえばどううなるかわからない雪渓をこれまたフィックスで横断したりも、ガイドがいたからなんとかなったようなものの自分たちでやれといわれればどうなってたかわからない。登頂したあとは早着き尾根をサクサク降りて一時ごろに前進基地に帰幕。まだ早い時間やったけど俺は笑顔で「今日は休むべき」と主張して休みを勝ち取りました
6日目
別山の岩場でトレーニング。まずハーケンとカムデバイスとナッツの使い方を教えてもらい一人ひとり割れ目にいれたりだしたりしました。そのあとそれらの道具をつかいながらリード登攀を繰り返し登っていきました。基本的に危ない岩場ではないのでゆっくりスタンスを確かめながら色いろ試せたんで非常によかったです。頂上までいくと悪天候ということですぐ登った道を懸垂で降り、適当なとこでボルトを打たせてもらいました。といっても僕は手が痛いとかわがまま言ってほとんど見てるだけでしたが、ちょっとやってみた感想としてはボルトは打つのがしんどいなという感じです。で、終わり
7日目
ムロドウまでいってちょっと搬送訓練をして、研修所に帰って、ちょっとしたミーティングして終わり
まとめ
割と楽しかったです。基本的に俺が体力不足だったからつらかっただけで、特にロープ講習とかはためになるというかなかなか現地であんなみっちり教えてもらう機会ってないからよかったです。それに他大の人といろいろな情報交換をする場所としてもよいと思います。俺の場合は山に対する知識、情熱という点でほかの人と多少開きがあったんで情報交換という点ではあまりできなかったですが、それでも他大のワンゲルの人と交流できたのは良かったと思います。