夏合宿 北アルプス黒部源流P
CL椎谷恵 SL鈴木陸夫 松島岳人 小林直子 河合弘樹
リープレ
7/15 前夜発日帰り@奥多摩犬麦谷
東日原から歩き始めるが、犬麦谷はきわめて遠い。途中目に入るカロー川谷、滝上谷の入渓点に、何度心を奪われかけたことか…。犬麦谷の売りは何と言っても
奥多摩最大の滝タツマの滝。思ったほど大きくないが、まっすぐに落ちていて非常に美しい。右から大きく巻く途中に、正面から拝むことができる。一方核心部 であるはずのモリノ窪瀑流帯は完全に名前負け。全く勢いはないけれど、完全に止まるでもない、なんとも煮え切らないミズの流れ。結局遡行時間が本のコース
タイムより短く済むという、これまでにない経験をしてしまった。
一次プレ
7月 前夜発日帰り@奥多摩 水根沢
夏プレで行く水根は楽しい。なぜなら水が多くって、いよいよ沢のシーズン到来!って雰囲気をプンプン感じさせてくれる沢だから。ところが、この山行につい
ての記憶が不思議なくらいに飛んでいる。山行にいってから1年半も過ぎた今記録を書いているので、当然といっちゃあ当然なのだが(Gくんに頼んだのに結局 書かねえんだもん)。なんか異常に込んでいた気がするなあ。そうそう、懸垂下降するのに順番待ちで1時間くらい暇したような…。半円の滝で確保中、ずっこ
けた小林に引っ張られてちょっとあせったような…。楽しかったような…。面白かったような…。
二次プレ
7月 前夜発日帰り@丹沢 小川谷廊下
今年もやってきました小川谷。昨年は色々とアクシデントが重なり(落し物とか、雑炊とかね)、道半ばにして引き返すことを余儀なくされたわたくし。今年は
是が非でも2年ぶりに終了点を拝みたい。幸いにして今年は天気にも恵まれて、超・快適な沢遊び。1年生諸君も元気でよい。同じ沢に何度も行くのは考えもの だけど、ことこの小川谷に限っては、避けては通れない夏の入口という感じ。結局今年は無事にプラン完遂。ここまで怖いくらい順調に日程を消化しており、あ
とがちょっぴりブキミ。
三次プレ
7月 前夜発日帰り@丹沢 モロクボ沢
昨年もプランとして成立しながらも実現されなかったこのプラン。紆余曲折を経て、夏プレという形でHWV初登場。入渓して最初に現れる巨大で美しい滝。入
口からしてこの立派さ、奥には一体どんな凄い世界が待っているのだろう!と期待させる導入部。…なのだが、実はここがこの沢の核心部、あとは延々とフツー なナメ滝が続き、ぼくらをほのぼのとした気分にさせるのだった。プレとしての意味はあったような、なかったような…。
四次プレ
7月末 2泊3日@奥秩父 豆焼沢~ナメラ沢
リーダー層は1年ぶり2度目となるこの沢。登れる滝の多さに非常に満足して帰った記憶があるが、今回は果たしてどうか?実は1年前は入渓点までの道を進む
のに、少々回り道をして時間をロスした苦い経験をしていた。二の徹を踏むことだけは避けようと、おぼろげな記憶をたよりに慎重に入山…のつもりがまた間違 えてしまった。
しかし入渓までの道のりにしてもそうだが、人間の記憶って本当に当てにならない(それとも俺の記憶だけ?)。1年前はそこそこ手応えのある沢だと思ってい
たのに、どこまで進んでもそんな難所は現れない。気が付けば昨年のコースタイムを大幅に更新する形で終了してしまった。
この山行のクライマックスは雁坂のテン場にて(こんなんばっかりの気が…)。突然の雷雨に見舞われ、あっという間にわがパーティのテントに大浸水!幸いに
してすぐに雨はやんだので外に出てみると、内のテントだけ水溜りの上にプカプカと浮いていた。これじゃあ浸水してくるのも当たり前だ!どうやらものすごい 窪みの部分にテントを張っていたようだ。ま、終わってみればこんなアクシデントも良き思い出。遠くに見えたシャワーのような稲光が美しかった。
翌日はナメラ沢を文字通りナメルヨウニ降りてきて無事帰還。これでプレは完全にやり遂げたわけだ。CLとSLをここでバトンタッチして、いよいよ本合宿突入です。あとメグミさん、よろしく。
夏合宿 北アルプス黒部源流
8月9日曇り
折立ー薬師峠(太郎平小屋天場)▲
前夜、夏合宿出発一番乗りの盛大なお見送りを受け、夜行の急行能登に乗りこむ。早朝、富山に到着。富山地鉄と、バスをのりついで折立へ。最初の2時間ほ
どの急登は重荷だけあってきついが、それを登り切ってなだらかな尾根上に乗ってしまえば後は見晴らしもいい草原で気分よく歩ける。隣の尾根の五光岩や、薬 師岳が見えて楽しい。今年は高山植物の開花が遅かったらしくハクサンイチゲやチングルマが本当に綺麗だ。が、途中から雲行きが怪しくなってきて雷が鳴り出
した。本当に今年はよく雷と土砂降りにあう。このパーティーのメンバーが全員居た、びしょぬれの沢トレ、プレの雁坂峠でのテントを浮かせた夕立、更にはこ の夏合宿の準備会で行った屋外ビアガーデンでの今まで見たこともないような凄まじい雷雨。だから、もう多少のことでは動じない。幸い、本格的には降り出さ
ず、無事テン場につくことが出来た。入山祝いで盛り上がるテントの中、1年Kが「オトル」というあまり嬉しくない名を授けられていた。
10日曇りのち晴れ
▲ー薬師山頂ー▲ー太郎沢(薬師沢中俣)出合ー太郎山ー▲
朝一ですかさず薬師岳のピークを踏みにいく。が、やたらガスっていて寒いことこの上ない。風も、このあたりは日本海からの季節風の影響をモロに受ける
だけあって強烈。あつおの守り神だという薬師の神様を拝み、お楽しみを食べて逃げるようにして早々に下る。この日初めて雷鳥を見て感激。今日はもうひとつ お楽しみがある。天場に戻ってから身支度を整え、薬師沢の中俣、通称太郎沢へと下った。天場から木道を歩いていくとさっきの天気が嘘のように綺麗に晴れ
渡ってきてうれしくなる。ここは、天場から非常に近くて短い沢だけどやっぱり水は綺麗だし、遊べるところも多いし、直登出来るけどちょっとスリリングな滝 なんかもあって楽しい。ただ、苔むしてぬめりのある岩が多いので要注意。後半の「堰堤のような滝」は本当に堰堤みたい。朽ち果てた人工物みたいで面白かっ
た。それにしても、河合がここぞとばかりに喜び勇んで飛び込み狂っていた。ツメは快適そのもので流れがやがて草原の中に消え、、、と、いい雰囲気だったの に、ここでまたにわか雨。で、そのままなんとなく歩いていくとすぐ登山道にぶつかる。ヤブなし。ちなみにここの遡行図は志水哲哉の「黒部へ」にチョコっと
載っている。
11日曇りのち夕立
▲―薬師沢小屋ー赤木沢出合大瀞ー北の俣岳ー▲
今日は空身で、いよいよお楽しみの赤木沢!とりあえず、せっせと薬師沢小屋まで下る。トップはガクト。そこから赤木沢の出合までは何度か左岸を巻く方
が早いのだが、空身で身軽なのをいいことにずっと本流どおしでいく。広い河原の川を何度か徒渉しながら進むが、平水ならば慣れてなくてもさほど大変ではな い。途中、両岸狭まり、えらい水量で迫力のあるゴルジュ状の滝の脇をシュリンゲを駆使してなんとか越えていった。すごく深いのに底まで綺麗に蒼く見える釜
と滝の激しい白い泡に吸い込まれそうで怖かった。きっと上の廊下ってこんな感じのもっと派手なのなんだろうな、、、と思ったり。と、なんだかんだで時間が かかったがやっとあこがれの赤木の大瀞に到着。SLあつおが合宿前に伊豆で特訓したという泳ぎを披露しようとしたが、2かきぐらいで本気で溺れ、助けに 行ったガクトまで道連れにしようとしていた。みんな思い思いに水と戯れるが、なぜか直子が流されていきそうになり、みんなで慌ててひっぱり起こした。
こ こから先は言わずもがな、夢のようなひとときです。白い岩肌に映えるエメラルドグリーンの釜、青い空に白い飛沫を飛ばす大滝。何しろ巻きの草付までがお花
畑なんですから!あいにく天気は曇ったり晴れたりではあったけど、光が強烈に降りて来る度に谷がきらきらして本当に幸せだった。赤木沢の滝は大きいのが多 いが、そのほとんどは難しくは無く、容易に直登していける。ただ、大滝の高巻き50メートルは、一段手前の右手のルンゼから巻くが、登りきって、奥の方の
落ち口にトラバースするあたりが余り踏みあとが明瞭でなく足場も良くないので適当に
突っ込むのは禁物だ。以降、次の二俣を右に行くとすっかり源頭の様相。ここから水が消えるまでも小滝と戯れ、また楽しい。沢が窪みとなり、消えた頃、そこ
はもう贅沢なパノラマの大草原だ。つめる稜線はもちろん、雲の平、黒部を挟んで向こう側の水晶岳、昨日行ったばかりの薬師岳、、、。結構いい時間にはなっ ていたがここで急ぐなんてもったいない。ゆっくり眺めを楽しんだ。ただし、、、ここからが問題だ。遡行図には忠実に微妙な沢線どおりに行けば藪漕ぎナシと
書いてあるが、そちらはどう見ても突っ込めばはまりそうな濃密ハイ松ゾーンである。昨年行ったときもやはりはまってヒーヒー言いながら抜け出したものだっ た。我々はそれを避けて赤木岳側に進路を取ったのだが這い松帯は切れず、良いところを見つけて稜線に上がるのにかなり予想外の時間を食ってしまった。反
省。(ちなみにこのあと9月に行った新村Pもツメは遡行図が言うような良いもんじゃなかったと言っていたがどうなんだろうか?)沢シュ―を脱ぎ、ひたすら ゆるく長い稜線をテン場まで戻ろうとした頃からまたしてもお決まりの、天候悪化。4時になり、天気図をとるためCLとガクトだけ残って稜線上でラジオを聞 いていたところで丁度、猛烈な風で殴るように吹き付けてくるにわか雨に遭ってしまった。ものの五分で見る間にびしょ濡れになり、雨の音でラジオ
が聞こえなくなったCLは途中から気象担当ガクト君の為、人間雨よけになることに努めた。あーもー、ホントに寒いし、先は長いよ!!と思いながら、夕方で
誰もいない稜線をひたすらとばして歩いていたら、気まぐれにもまた見る見るうちに綺麗に晴れていった。気がつくと、黒部側に写真のフレームではでは収まり きらないほど大きい虹が色濃く、しかも二重に浮かび上がっていた。そしてその虹は、私達が天場に着くまで、傾きかけた太陽の柔らかい光と雨上がりの薄もや
の中に、静かにかかっていてくれたのだった。
12日晴れ
▲ー薬師沢小屋-赤木沢出合―五郎沢出合(左俣遡行)ー黒部五郎小屋天場▲
つい昨日も行ったばかりのだるい道のりをまた薬師小屋まで下り、赤木沢を脇に見て、奥の廊下を行く。今日は黒部小屋まで移動するため、2日ぶりの重荷で
ある。みんな、第一次御疲れピークといった様子で、赤木の瀞を越えたあたりから動きが鈍り、休憩のたびに本気で熟睡したりしていた。特にSLと直子の寝つ きの良さは比類無い。眠りの深さで言ったらガクトが一番で、かんかんに日向干になった体に源流の冷水をぶちまけてやっても起きなかった。まあでも、無理も
無かろう。今日はいい天気だ。奥の廊下は平凡な流れではあるが、「南アルプス天然水」とか、おばあちゃんち
の夏休みって感じのとても牧歌的な雰囲気であった。そんなところには昼寝が良く似合う。ほっとけば何時間でも寝てしまいそうなパーティーを今日中に黒部の
小屋に連れて行くため、立場上眠れないCLはちょっと悔しかった。しばらくして五郎沢に入る。ここにいたるまでの枝沢を数え間違えないよう、すこし注意を
要する。五郎沢の左俣は小屋に、右俣は源頭のカールに通じる。カールに出るのも感動的だろうがここは、左に。左俣のちょっと手前で紛らわしい枝沢がある。 この先、嫌になるくらい急でひたすら岩を乗り越し高度を稼ぐ。難しくは無いがしんどい。どれが滝とかは全部急なものでさっぱりわからない。1時間ばかりの
大格闘が終わる頃、黒部のカールが見え出す。ツメは忠実に水量の多い方を選べばいい。黒部五郎はCLの大好きな思い入れのある山で、小屋に着いたときは何
だか帰ってきたような気持ちだった。この夜、トランプ、大貧民をやったがCLは何度やっても大富豪の地位から転落することを知らず、ご満悦で眠りについ
た。
13日 晴れのち曇り
▲―黒部五郎山頂ー▲―(巻道経由)ー三俣山荘天場
今日のトップは直子ちゃん。戸惑いつつもトップをこなす。それにしても、やっぱり黒部五郎のカールはいい!草原の中をそこかしこに小川が流れていて、空
中庭園のよう。でも、朗らかな挨拶を行き交う人たちと交わすあつお君は、なぜか禿ヅラ装着。ゴムの匂いが漂ってきて気持ち悪い。頂上では直子嬢の豪華お楽 しみを美味しくいただく。本日はピークアタックのち、三俣山荘まで天場移動。三俣蓮華も雲の平を眼下に望めていい山なのだが、ガスってきたので巻き道経由
に進路を取った。でも、この道も高山植物が満開で楽しめた。天場は人でごったがえし、辛うじて場所を取った。CLは小屋で、ご主人の伊藤さんが書いた「黒
部の山賊」という本をつい買ってきて読みふけってしまった。戦前戦後の黒部源流を生きた猟師達の話で、まだ伝説や物の怪が血が通っていた頃の物語が本当に 面白かった。これは本気でちょっとお勧めの一冊です。この晩のトランプはスピード。昨夜とはうって変わってCLは勝ち知らず。だって鈍そうだし、とか一年 に言われてすねて寝てしまったらしい。
14日 晴れ時々曇り
▲―鷲羽山―(水晶岳往復)ー祖父岳ー雲の平天場▲
天場からぐんと急登をいく鷲羽岳。エアリアでは危険マークがついているが浮石とかも無く、危険とは全く思わなかった。鷲羽は鷲が羽根を広げた様な容ちだ
からその名がついたらしいが、男らしい感じの量感のある山でみんな好きだといっていた。のっこしにザックを置いて水晶岳にアタックに行く。お腹を壊した SLがトップでトイレめがけて必死でとばしたのであっという間に着いてしまった。水晶小屋から水晶岳までは細い岩稜だ。遠くから見るとギザギザが攻撃的で
ゴージャスな山だ。その名のとおり水晶が採れたらしい。のっこしまで引き返し、雲の平に向かう。その途中、角を曲がる出合がしらでトップのガクトが、う わっ!!と声をあげた。何かと思えば、彼の高校時代の恩師だったらしい。よくもまあ、最後の秘境とも言われるこんなところで、、、。ガクトがあせりまくっ
ていたのは、何か後ろめたいことでもあったのだろうか?
雲の平のテン場は広いのだが斜めで、岩が多く小川まで流れてるため、具合のいい場所は非常に少ない。トイレが使えないのも難儀だったなあ。
15日 晴れ
▲ー祖父平ー登山道ー日本庭園ー▲
ジイ沢を下り、再び黒部の源流に戻り、流れが鷲羽に消えるのを見とどけにいった。、、、でも、この、、、ジイ沢はどれをとっても美しい黒部源流を取り巻
く沢の中にあって出色の冴えなさである。それがトイレの垂れ流しが入ってる、と思うからであるのか否か?なんか泡だってたりして、足を濡らしたくない気持 ちにさせた。ともあれ、本流との合流地点の祖父平はとっても綺麗な良いところであった。ここで、「パン綱」をしたが優勝者は圧倒的強さを誇ったガクトで、
その日の飯大盛り権を見事獲得していた。祖父平からさらに遡っていくと、川幅いっぱいに詰まった雪渓が現れた。近付くとひんやりして気持ちいい。沢中の雪 渓を越えるのはリーダーにっとっても初めての経験であったが、それ自体はまだ頑丈で、いやらしい残り方をしてるわけでもなく、はじっこを慎重に歩けば問題
無かった。雪渓は食べるもの、というS高校の文化を脈々と受け継ぐCLと河合は、取って来た雪渓をお見送りのスキムミルクと蜂蜜で練乳かき氷チックにアレ ンジしてせっせと食したが、残りのメンバーにはさっぱり受け入れてもらえなかった。あんなうまいものは無いと思うのだが、汚そうだったのかしらん?更に進
んでいくと、ついに、最源流部に到着。そこから再び鷲羽に戻ることはしなかったが、消え行くところを確認して満足。脱いだ沢シューの上でかげろうが羽化し ていた。ここから、雲の平に戻るため、日本庭園経由で帰る。どこが日本なのかは良く分からなかったが、この辺はとっても綺麗なところで、平原好きにはたま
らないだろう。もう、今夜は合宿終了2日前。空には満月、テントの中は異様な荒れ模様。残り少ない貴重なフィルムを「どうしても撮れ!」と強要されて無駄 遣いした、酔っ払いKとAの下らない写真があの晩の証人である。
16日 晴れ後夕立
▲―水晶小屋ー真砂岳分岐―湯俣岳ー湯俣山荘天場▲
淋しいけど、もう稜線とお別れ。今日のトップは河合君。東俣ノッコシから、行きたかった東沢(橋がぶっ壊れてて、徒渉が非常に大変になっていたため行け
なかった)を眺める。長い。水晶小屋から真砂までの尾根は痩せていて、エアリアにも危険マークがついているが、まあ、それだけのことはある。長い合宿はい つでもそうだけど、主稜線を外れて枝尾根を下りていく瞬間というのは切ないものがある。このときも、やはりそうで、私は心密かに、ああ、水晶、見えなくな
る、あああ、真砂も、、、、と、感慨にふけっていたのだがトップの河合はお構いナシにきっちりたったの10分休憩で、がんがんとばして下っていった。止め る理由もないのだが。南真砂に至るあたりまでたまに岩質がもろくて嫌らしいところがある。尾根の細いところにはロープが張ってあったりした。湯俣岳につく
頃には、もうもさもさ樹林帯。し忘れていた雄たけびを湯俣でやろうといいながら歩いていたのだが、視界ゼロ、小虫ぶんぶんの4
畳半ピークに、みんな無言になってしまった。あまりに気分が出ないのでお流れ。そのうちに、湯俣川の硫黄の沢らしい毒々しいエメラルドグリーンの水や赤茶
けた岩が見えてきてた。長く急な下りに皆ボロボロになってようやく尾根を降り切リ、天場にたどり着く。一休みしてから、楽しみにしていた河原の湯俣墳湯丘 を見に行った。道すがら、ガクトが素足にサンダルで蛇を踏んづけて鎌首上げられていたのには胆を潰した。何だかんだ言って露出はいけませんってのはアウト
ドアの常識だなあと改めて思った。河原の温泉は期待どおりで、硫黄くさいガスがたちこめる中、白濁してむちゃくちゃ熱いお湯がいたるところに溜まってい た。沢のお湯と混ぜて調整するのだ。長い合宿の疲れを癒してくれそうである。リーダーズが作る最後の夕食のあと、(ちなみにこの日もまたしてもきっちり夕
立がきた)男性陣は先程偵察に行った地獄っぽい温泉に、女性陣は天場近くのお湯が透明で小奇麗で見晴らしのいい露天風呂に別れて入浴した。どちらも、最 高、だった。なんせ、このために下山地をここにしたのだから。
17日▲―高瀬ダム 晴れ
気持ちのいい朝。高瀬川沿いに三時間歩いて、ダムにてタクシーを拾う。2台に分かれて分乗したが、後発隊のあつおと一年はそこで雄たけびをしたらしい。
しかも、内容を教えてくれない!なんだと~、CLは私だぞ~!そして、信濃大町で垢を落とし、松本にて焼肉を食べ放題して、反省会では、女王様・直子から 合宿中ずっと河合に米を炊かせ続けたため、結局自分は未だに出来ないという電撃告白が飛び出したりしつつ(あんたすごすぎ。怒る気にもなれんよ)、静かに
合宿は幕を閉じたのであった。
☆リーダーコメント☆
ちょっとこの辺を知ってる人なら、パッと見て私のこのプランの偏執ぶりが分かることだろう。せっかく、こんなとこまで行くんだから、槍でも行けば良いじゃ
ないか、なんで何度も何度も黒部源流部におりるんだ、とか。でも、それは良く言えば私のこだわりで、源流部はどうしてもじっくり歩き回りたかったし、黒部 五郎は何が何でも行きたかったし、湯俣の露天風呂は高校生のときに見た山渓の記事が頭に刷り込まれていてずっと夢だった。何より、この山域は私
が山をはじめて2年目に、ああ、もう一生辞められないな、と思ったところで、行ってないとりこぼしを舐めまわしたい思いで一杯だったのである。というわけで、率直に言って我ながらかなりわがままで歪んだこのプランに連れまわして、果たしてみんなは楽しい
か? と、内心不安だった。で、結局どうだったかというと、やっぱり人が思っていることなんて分からないけど、私にとっては三年間で一番の夏合宿だったというこ
とは断言できる。アルバムを開くと、水と戯れるみんなの楽しそうな、顔、顔。テントにはいつも笑いがあった。こうして今一年あまりたって記録を書くと、改 めて、あの時の充足感が何だかほこほこしたあったかい気持ちに変わってこみ上げてくる。だから、きっと、みんなも楽しかったんじゃないのかなあ、恥ずかし
ながらいい合宿だったんじゃないのかなあ、なんて思ってしまうのだ。ずっと、こういうこと最後に書くのって嘘臭いと、うがった見方をしていたのだが、やっ ぱり言っておきたい。この合宿に一緒に行ってくれた直子、河合、ガクト、それにたくさん助けてくれたSLのあつお君、本当にどうも有り難う。貴方たちと一
緒にいた夏は夢みたいに楽しかったです。思い残すは君達の雄叫びの内容ばかり。卒業するまでに口を割らせるつもりでいます。