日時 2023年7月2日
山域 東丹沢 谷太郎川鳥屋待沢 (1級上)
文責 大内(追記 辻)
目的 変化に富んだ沢で、沢登りを楽しみたい。ヒルに噛まれてみたい。
メンバー CL:辻(W3) SL:大内(W2) 医療:長尾(W2) 無職:生田(W1)、秦(W1)
天気 晴れ。水量若干多(遡行上問題なし)。
地図資料 国土地理院地図、東京起点沢登りルート120「鳥屋待沢」
電波 au/docomoマルチキャリア端末は宝尾根~不動沢方面登山道の一部区間で可能
コースタイム
マス釣り場駐車場-0:20-入渓点-0:10-ナメ滝-1:10-釜と大岩-0:45-12m大滝下-1:45-トイ状5m-0:40-二俣-1:25-10m+10m下-1:50-5mCS+5mCS下-0:25-5mハング下-0:15-ツメ開始-3:35-宝尾根-0:40-登山道(不動沢方面)-2:00-駐車場
合計:15:00
マス釣り場駐車場(5:40)-0:15-鳥屋待沢出合(5:55)-1:05-3*4m滝(7:00)-1:00-12m大滝下(8:00)-1:10-5mトイ状の上(9:10)-0:20-6m滝下(9:30)-0:50-6m滝上(10:20)-0:30-10m+10m下(10:50)-1:20-10m+10m上(12:10)-0:50-5mハング滝下(13:00)-1:00-5mハング滝上ツメ開始(14:00)-3:30-宝尾根上(17:30)-0:30-登山道上(18:00)-2:20-駐車場(20:20)
沢中 11:35(ツメ含む) 沢外 3:05 合計 14:40
詳細
・入渓
駐車場から橋まで車道を歩く。橋から沢への踏み跡はしっかり残っており、山行記録に記述のあった大破した車を目印としていたため、入渓点まではスムーズだった。少なくとも入渓点付近までは対岸には作業道が続いていた。
入渓するまでにSLのスパッツにヒルが三匹ついており、一同騒然とする。以降、メンバーはヒルを恐れ下を向いて歩くようになった。
・ナメ滝
左岸巻き
・釜と大岩
右岸巻き
直登可能な滝ではあったが、釜が深く、へつれるような側壁でもなかった。巻き道に関しては特筆すべきことはない。
・3*4m滝
流心直登
・美しい釜と大岩
中々深い釜もあり、勢いよく飛び込める。この辺りがこの沢だと一番楽しいのでコースタイム見つつ遊ぶべし。
・12m大滝
右岸高巻き
かなり迫力のある滝だった。滝下で一度休憩を取る。計画では右岸巻きを予定していいたが、右岸手前に適当なルートがみあたらず、右岸に入っている沢線から高巻くことにした。落石が多そうな巻き道だったため、メンバー間の距離を詰めて登る。CLの脚に石が直撃したものの、大したけがではなかったようだ。沢への復帰も問題なかった。
・トイ状5m
フリー直登
・6m
SLCL右岸巻き、のち岩を支点に確保し後続は左壁直登。
SLが直登を試みるも中盤で落下。SLのビレイ練習のつもりでCL・SLが右岸巻きをして後続を確保した。一年生が登攀でかなりの時間を費やしてしまい、想定以上の時間がかかった。巻きも正直よくないので確保・直登としたが、コースタイムを鑑みればPR出すなどして全員巻くべきだったか。
・二俣
本来の二俣以前にもう一つ二俣があり、地形図との同定から最初はそちらを正規ルートだと考えたが、沢が枯れていないことや計画書に載せた画像とも風合いが異なることから、先に進むと、しっくりくる二俣があった。偽二俣の左俣の岩にペンキが塗られていたのはややこしかったので注意が必要だろう。
・10m+10m
CLリード、後続確保し左壁から直登
中盤からはガバや足場が多く、最初だけどうにか頑張れば直登できそうだった。実際、後ろから来た男性は直登で5分もかからず登ってしまっていた。
残置ハーケンが二つあったため、CLがザックをおろして空身のリードクライミングで登る。問題の一段目はショルダー利用で突破。次にSLがヌンチャクを回収し、ハーケンからPRを垂らしながら(滝の序盤は手足の置き場が少ないため)、確保で登る。その後、CLのザックをロープで引き揚げ、後続が続いて上る。ビレイの準備や一年生へのロープワークの確認などで、かなりの時間がかかってしまった。
トップはリード直登するにしろ、後続はごぼうで登らせればよかったネ。(辻)
・5mCS+5mCS
直登
SLが直登。後続はPRを使用して直登。意外と簡単だった。
・5mハング
左岸高巻き懸垂下降
ザレた斜面を巻くが沢への戻り道に苦戦。SLとしては、時間が押していたし、このくらいの斜面は難なく降りれてほしいと思ったが、一年生の実力を鑑みて、懸垂下降。W2が二人で懸垂下降の準備をしたにもかかわらず、準備に時間をかけてしまったことは反省すべきだ。
・ツメ
冗談抜きで死ぬかと思った。というか、ツメの途中では死んだ方がマシだと思ったくらい参った。序盤はザレた斜面が続き、一年生が登りに苦戦していたため、SLがロープを巻き付けフリーで登り、適当な木で支点を作って後続はゴボウで登る。当初はこのレベルの登り坂ならば、毎度ゴボウして登ることも時間的に問題ないと考えていたし、そう考える精神的余裕があった。GPSも頼りにしながら、計画通り途中から尾根に上がりツメ続ける。尾根の先の様子は木で隠れていたためあまりわからなかったが、GPSでは正しいルートを言っているようだった。徐々に勾配が急になっていき、沢経験の少ない一年生には過酷なものだったらしい。毎度ロープでゴボウしていて時間が迫ってくるのに、無慈悲にも斜面はさらに急になっていった。とうとう、ほぼ垂直のような斜面も出てきてしまい、ここでようやくルートミスに気付く。しかし、SLは既に登ってしまっておりフリーでの下降は危険すぎるし、見た感じこの先はそれほど過酷な登りではなかったため、CLとの相談の結果このまま尾根上をツメることにした。日暮れまでにツメ終わらないと本当にまずいと思い、多少危険な場所(通る分には安全だが、万が一落ちたら危険な場所)でも、ロープなしで一年生に登ってもらった。その後のツメは予想通り、比較的易しくなっていき、宝尾根に着いた。
<CL辻追記>
ツメ開始地点について、現地で会った男性によれば630m二俣から伸びる沢筋を777ピークへ詰めるルートもあったそうだ。当時は計画書の内容に従いその先のハング滝を超えたところでツメ開始。630m二俣~ツメ開始点までは両岸をツルツルの岩肌が覆っているのでいくつか沢線があるが突破不可。ハング滝も大して面白くないので5mCS滝を超えたら777ピークへツメた方がよい。なお宝尾根も正直下山には使いたくないクソ道。岩と滑る砂地の連続する細尾根で、登るにも降るにも事前に部外記録を参照すべし。
・下山
登山道に出て一安心。下山を開始するが、予定していた下山ルートが封鎖されており、不動沢へ続く登山道を通ることに。鎖場が多くあまり整備されていない登山道で、日暮れ後に通ることは危なかった。下山に使うなら必ず部外記録を確認しておくこと。とはいえなんとかその日のうちに下山できた。駐車場に着き、ライトを足元を照らすと、無数のヒルが沢靴、スパッツにへばりついていた。塩の効果は抜群で、振りかけたとたん丸くなってポロリと落ちた。
なお塩が足りず下山連絡もあったため沢装のままコンビニまで車で直行。コンビニで塩を買って全員必死でヒルを駆除した。地獄。
【総評】
沢自体は、変化に富んでおり非常に楽しかったが、沢の経験が少ない一年生を連れていくには難易度の高い沢だったと思う。ツメも考えると一級上というグレードは真っ赤な嘘で、体感としては2級以上だと思う。ツメがきつくなってきたところで、時間と計画者としての責任感から精神が不安定になってしてしまい、イラつきや焦燥感で気を遣った振る舞いができずSLのせいでクソむずい沢に連れていかれた罪なき一年生にも怒りを覚えてしまったことは反省点だが、それを表に出さなかったことは数少ない良かった点の一つだと思う。ツメのルートミスは致命的だったが、GPSでも目視でも、尾根の先があそこまで危険で過酷だとは予測できなかったため、正直ルートをミスしたこと自体は仕方のないことだと思っている。しかし、それを気づいた時点で懸垂下降で谷側に降りることを早めに考えられなかったことは問題だと認識している。日が傾きはじめていたため、谷に降りてツメることも正しい選択かどうかは不明だが、後に引けない状況を作ってしまったことは失敗だった。
初の沢計画、初の沢でのSLでここまで過酷な経験をするとは露も思っていなかった。幾度かの計画変更があったため計画が審議に通るのが遅くなってしまったことや、ツメの情報不足、登山道の状況把握など、思えば計画段階で問題があった。反省すべき点は非常に多いが、なんとかメンバー全員が無事に帰れたことは本当によかった。
もう鳥屋待なんて行かない。