北アルプス大縦走


北アルプス大縦走

上高地~槍~雲の平~烏帽子~針ノ木~鹿島槍~五竜~白馬~朝日~栂海新道~親不知

メンバー:CL・記録 新村響子(3) SL 吉田大輔(2) 装備 高田秀樹(2)

     食当 宮本夕希(2)     益満裕幸(1)     野吾雅史(1)

 タイムは一休を抜いたものです。

8/8(火) 晴れのち曇 夕立あり

立川st=松本st=新島々stbus―上高地―2:50―横尾△【2:50

7:00立川集合。早いのにいっぱいの人がお見送りに来てくれた。うーん、一番最初の出発ってあこがれてたんだよねー。カンゲキ。中田さんまで来てくださった。お見送り品がいっぱい。重い~。

いきなり益満が忘れ物。コッヘルを家に忘れてきたらしい。益満だけ特急で追いかけてくることになる。せっかくのお見送りに来られないなんてかわいそうに…。

松本で益満と合流。新島々へ。松本で野吾が麦わら帽子を買ってきた。この麦わら帽子は使われることのないまま朽ち果てることになるのだが。ちなみに新島々に行く途中には新村駅がある。新村家の発祥の地なのです。

そ んなのはどうでもいいとして、新島々からはバス。電車にあわせて接続できるようになっている。バスで上高地に向かう途中ですごい夕立になった。まだ2時前 だが、このごろは毎日この時間帯に夕立らしい。上高地はすごい人でうんざりする。入山電話をして、いざ出発。雨も止んできた。途中CL新村が天気図を書 き、残りのメンバーが先に横尾に向かう。新村は必死で追いかけた。だって、徳沢から向こうは人もいないし暗いしでとっても怖かったんだもん。5時くらいに 横尾に到着。テン場代は500円。統一されているのか、このあとテン場代はずっと500円だった。

8/9(水) 曇のち晴れ  夕立あり

 1:50―槍沢ロッジー6:00?―槍ヶ岳山荘△【7:50】+槍ヶ岳ピストン

2:30起 床。重いザックを背負って槍沢を登る。きつい。だるい。みんなかなり疲れている。「益満、今どこかわかる?」「…もうどうでもいいっすよ」「…!?」顔が 穏やかな益満も実はかなりばてていた…。槍ヶ岳山荘の水を買わなくて済むように最後の水場でみんなダブポリ。金を浮かすのだ!!槍ヶ岳山荘のテン場は30 張りしかないので、殺生ヒュッテ手前から新村が1人でテン場取りダッシュ。新村は11:30に山荘に着いたが、もうすでに広いところはなくなっていた。なんとか張れるところをキープ。やはりダッシュが必要です。高田・ヤゴ・益満の3人は12:30着。ヤゴが吠えていた…。ゆきちゃんとよしーは1:00着。ゆきちゃんはバテバテで涙をぽろぽろ流している。おじさんに氷砂糖をもらってなぐさめられたとか…。

テントを立てると同時に夕立。だが5時前にはガスがはれたので、ピークに行く。三俣蓮華岳や笠ヶ岳、穂高連峰,常念岳…眺めは最高だ。みんな疲れを忘れて遠くの光を見つめていた。

がんばってダブポリをしたおかげで水は一滴も買わずに済んだ。水1L=200円

8/10(木)曇時々晴れ 夕立あり

△―3:30―双六小屋―3:15―三俣蓮華岳―0:25―三俣山荘△【7:10

朝 起きるとすごい風。ガスガス。昨日の夕方に槍ピークに行っておいてほんとによかった。西鎌尾根はところどころガレや岩場があり、注意が必要。落石に気をつ けよう。双六小屋手前で晴れてきたので双六岳に登ることにした。巻いたらチョンボすぎるから…。双六小屋は本当にきれいで大きな小屋だ。ゆきちゃんがリン ゴを食べていた。双六岳付近からは鷲羽岳が見えた。気持ちがいい山だ。高田好みらしい。

三俣のピークで大志のお見送りの缶詰を食べる。ありがと、大志。薬師岳方面が見える。きっと、あそこには恵たちがいるんだろうなあ…。「がんばれー」って一言。大学生の男の子の集団に写真を頼まれたゆきちゃんは、彼らがいきなり脱ぎだしたのでびっくり&うれしそうだった。

三俣山荘には公衆電話あり。水もじゃんじゃん流れている。

8/11(金)くもり時々晴れ

 1:15―鷲羽岳―0:50―乗越―0:45―祖父岳―0:40―雲の平△【3:30

朝は今日もガスっている。ガスの中、鷲羽岳の急登。風が強く、寒い。ピークは何も見えない。なぜ、ピークはガスなの…?

鷲 羽を越え、祖父岳にさしかかるころ、晴れてきた。岩苔乗越の水場はよくわからなかった。多分雪に埋まってたんだとおもう。祖父岳のあたりはチングルマをは じめとして様々なお花畑が広がる。雲の平に期待!わざわざ下りるんだからきれいじゃなきゃ…。益満は「なんで下りるの?」っていう顔をしてるし。

祖父岳の上からは黒部五郎岳が美しい。赤木沢もみえる。恵たちは今日、あそこを歩いているのかな…?ヘルメットを探してみたけどやっぱり見つからなかった。

そして、雲の平へ。雲の平は本当に本当にきれいだ。雲上の楽園という名前の通り。お花畑と岩と池塘のコントラストが美しい。今日は休養日なのでまだ10時。雲ノ平を散策し、お昼寝。みんなは雲の平山荘で焼きそばを食べていた。

ここのトイレは最悪!故障しているらしく、フンが山盛りになっていて、うじがうごめいている。テン場代払ってるんだから整備しろよなー。水は問題なし。

8/12(土)晴れのち曇

△―1:50―分岐―0:40―水晶小屋(水晶空身ピストン0:53)―2:27―野口五郎岳―2:20―烏帽子小屋△【8:10

台風が近づいている。午後から天気が崩れるのが心配なのでまたまた2:30起き。「2:30なんて起きる時間じゃない…」ってヤゴがぼやいてる(笑)ごめんね、やごっち。

天気が悪そうであれば、水晶をカットしようと思っていたら、めっちゃ晴れている。満点の星空に流れ星が1つ、2つと流れている。

祖父岳のピークでご来光。槍が見える。本合宿ではじめての朝焼けだ。

絶 晴れ水晶岳ピストン。やっとピークで晴れた。これで吉田も「北アルプスといえば雨ですね」なんて言わなくなるだろう。水晶小屋のトイレを使ったら「ここは 公衆トイレじゃないんだ」と小屋のおやじに言われた。むかつく。まあ、ここのトイレを使う人はおやじに一言声をかけてから使おう。

今日の行程は長い。特に距離的に…。野口五郎を越えてからみんなだるそう。新村はお腹が痛くなり、死にそうだった。このあたりは、高山植物の女王コマクサが咲いている。初めてみた!感激!

2:45烏帽子小屋着。とても混んでいて、もうよいテン場がない。おじさんが少しゆずってくれてなんとか張るが、雨になったら川ができそう。心配なのでテントにビニールを敷いたり、溝掘ったり。明日は停滞かもしれないからね。

8/13(日)曇

 1:40―南沢岳―3:50―ニセ船窪岳―1:05―船窪岳―1:15―船窪小屋テン場△

7:50

夜中は結構風が強かったが、雨はほとんど降らなかった。烏帽子のテン場は沢沿いの樹林帯の中にあって、台風がきても停滞できそうである。今日も2:30起き。もう2:30起きが普通になってきた。おそろしい…。天気の様子を見るが、霧がかかっているが、さほど風も強くないので出発。ガス&日の出前なので烏帽子岳はカット。「烏帽子岳分岐」の看板の「分岐」という文字を隠してニセピーク写真を撮る。烏帽子岳…期待してたのに。

さ て、ここからがだるい道のりの始まりだった。まともなピークが全くない、標高が低い、おまけに天気も悪い…。樹林帯やもさもさした草地の中をひたすら小さ なアップダウンを繰り返しつつ進む。不動沢側は所々崩壊しており、ガレっぽいところや、うざい巻きが多い。みんなかなりキレてくる。

やっ とピークに到着。エアリアでいう「船窪岳」である。みんな船窪岳だと思い、あと少し…と期待する、が、甘かった。ここから吉田がテン場を確保しにダッ シュ。その後をのろのろと行く。途中鎖場があり、益満が足をすべらせ、鎖にぶら下がるという場面があり緊張する。びっくりした~。風雨がつよい時はあまり 通らない方がいい道である。「はしご」とエアリアに書いてあるがそれらはすべて木のはしご。小さなポコが多いため、急登が多く、そこにはしごが掛かってい るのだ。だるい!疲れる!永遠にこんなポコが続くのではないかと思ってしまう。そして急登を登り、ふと見ると「船窪岳」の看板が!!「!?」みんな絶句。25万図にはそれが船窪岳だとちゃんと載っている。エアリアと25万図で船窪岳が違うことに新村は気づいていたが、エアリアしか見ていなかった他のメンバーはかなり動揺していた。エアリアはポコの数自体が省略されて変になっているようだ。っていうか、25万図見ろよなー。

案の定、その後やっと「乗越」の看板が現れる。この看板、倒れている。きっと「船窪岳」の出現にキレた吉田が倒したに違いない!メンバー全員キレている。誰も何も言わない。ゆきちゃんはやはり涙をこぼして泣きつつ怒っている。ヤゴが地面を殴りつける。…ひ~。

吉田12:00着。他1:00着。テン場の数が少ないのですぐいっぱいになる。ここもダッシュが必要だと思う。まあ、お盆だから(?)混んでいるらしかったが。ここの水場はかなり恐い。滑落しそう。1年生だけとかでは決して行かせないこと。

8/14(月)晴れ時々曇

△―2:50―乗越―1:45―蓮華岳―1:00―針ノ木小屋テン場△【5:15

今日もマイナーな山が続く。が、昨日の今日なのでだれもつらいと思わない。「船窪越え」は私たちの中でもっともだるい伝説となってしまった。

ま た水代を浮かせるためダブポリ。新村・吉田は4ポリ。…死ぬって。北葛岳でこれから沢登りをするというひとに出会う。初心者らしいのだが、これから針ノ木 谷を下降し、仲間と合流するらしい。だが、その人はなぜか足袋を履いているのだ。下降点はずっと先なのに…。その人はそのままずっと足袋のままで縦走を続 け針ノ木岳へと登っていた。何か勘違いをしている…沢に入るときにはもうフェルトがなくなってるんじゃないかな…?でも何もいえなかった…。

蓮華の大下りは岩場と鎖が連続する。問題はないが、雨の時などは注意が必要だろう。特に下りは怖いかもしれない。蓮華岳の途中で雷鳥に出会う。相変わらずバカ鳥だ。蓮華岳はどっしりしていい山だ。ゆきちゃんのベスト山らしい。こんなマイナーな山を…。針ノ木小屋12:30着。男の子たちはかなり飢えている。ごま塩と乾燥ほうれん草を一緒に食べて「ほうれん草のごま和えの味がする」って。うそおおおおおお!

8/15(火)晴れのち曇

△―1:05―針ノ木岳―3:40―新越山荘―0:50―岩小屋沢岳―1:05―種池山荘△【6:40

今 日はいい天気。特に富山側は晴れて立山が見える。針ノ木を目指して登る。ガレを登り、チングルマを踏みつぶし、岩をのぼる…!?トップの高田はルートをは ずし、変な小ピークに向かって登っていた…。人が下を歩いている。誰も気づかないなんてね。ゆきちゃんが筋を痛めたらしく、つらそうだ。ザックを解体す る。よくなるか、心配。まだ行程の半分なのに。

稜線上は携帯電話が入るので水間さんに中間報告。キレット小屋にも宿泊予約キャンセルの電話をする。ゆきちゃんのためにも、明日を冷池までの休養日にしてしまい、明後日一気に五竜山荘まで抜けてしまう予定だ。なんせキレット小屋に泊まると素泊まりでも6000円もかかっちゃうんだから!!

ヤゴはレーションがなくなりかけて飢えに苦しんでいる。あと少しでデポ回収だよ…。新越山荘はめっちゃきれい。手洗い石鹸があり、感動!手を洗うためにトイレに行く。

ガスの合間から見覚えのある赤い屋根。種池山荘。帰ってきた!2ヶ月ぶり。デポを回収し今夜は大宴会。明日は休養日だしね。水1l=150円。

8/16(水)晴れ後曇

△―0:50―爺ヶ岳南峰―1:20―冷池山荘△【2:10

5:00起 床。なんて幸せ!デポを回収したザックはずっしりと重い。ゆきちゃんの足は調子良さそうだが、今日は念のためコッヘルはCLが持つ。益満トップで爺ヶ岳を 登る。途中、雷鳥の親子に出会う。「うまそー」と男の子たち。こいつら、信じられない!天然記念物だぞ…。どうしたら雷鳥を見て食べたいという発想になる んだか。10時過ぎには冷池山荘に着いたので山荘の食堂でカレーを食べてのんびりする。明日はいよいよキレット越えだ。水1l=150円

8/17(木)晴れのち曇

△―0:55―布引山―0:45―鹿島槍ヶ岳南峰―0:35―北峰―1:25―キレット小屋―1:20―口沢のコルー2:37―五竜岳―0:45―五竜山荘△【8:22

今日はコースタイムが長いのでまたまた2:30起 き。天気がいい。布引山でご来光。雲海の中から太陽が昇る。後ろを振り返れば剱岳のうえに白い月。幻想的な風景にみんなうっとりしてる。遠くに槍が見え る。もう、だいぶ来たね。恵たちは今日下山かな?「まだ山にいる俺たちって何なんすかね?」って益満がつぶやいてる。うーん確かに、バカ以外の何者でもな いな。でも鹿島槍で晴れるなんてサイコー!1年生がおたけび。ゆきちゃんのワンゲルに入って初のおたけびは長かった…。

八 峰キレットはまだ朝早いせいか人も少なく、思ったほど怖くはなかった。慎重にいけば何の問題もない。一カ所くさりのトラバースがちょっと緊張したくらいか な?ただし、人が多いとかなり時間をとられる場所であることは確かである。キレット小屋は立派な小屋が岩の上に張り付くように立っている。かっこいいお兄 さんがいた。

ここから五竜までがなにげに長い。ガレの登りなどだるいところが多く、かなり疲れる。五竜に着いたとき、ヤゴはきれていた。話しかけても答えてくれない…くすん。

五 竜山荘にはカルビ丼がある!2時をすぎてて食べられなかったけど…無念。明日唐松にもあることを願って!水は1l=100円。今年は雪が多いからか、どこ も水が安くてうれしい。だれかさんのように八方尾根を下って水を取りに行くなんて私たちには絶対できないな。ヤゴがザックをテン場から下に転がしてしま い、結構やばかった。ザックのせいで本合宿中止になんなくてよかった~。

8/18(金)晴れときどき曇

△―0:55―慰霊碑―1:15―唐松頂上山荘【2:10

「唐 松頂上山荘でカルビ丼を食べるぞー!」を合い言葉に出発。きょうはゆきちゃんが初トップ。足の調子もすっかりいいようでやたら元気だ…速い…。トップにな ると速くなるんだよね、1年って。唐松山荘に着く手前に鎖場がある。唐松頂上山荘には10時についてしまい、まだ喫茶店も受付さえも閉まってる。みんなで ぼーっとする。

こ この山荘は大きくて喫茶店も高級っぽい。…カルビ丼はなかった。男の子たちは絶望してる(笑)新村とゆきちゃんはカレーとケーキを食べてコーヒーを飲んで 喫茶店でひたすらおしゃべり。こーゆーのがいいのよ~。疲れを忘れる1つの方法。カルビ丼じゃなきゃ食べないって意地をはってた男の子たちもとうとう飢え にまけてカレーを食べる。ばかだなあ、ほんと。水1L=150円。

8/19(土)晴れのち曇

△―0:20―唐松岳―1:12―不帰嶮―0:50―一峰―2:03―天狗頭―0:27―天狗山荘―1:00―白馬鑓ヶ岳―(杓子岳ピストン往復約20分)―2:00―白馬頂上宿舎△【8:12

今 日は2つ目のキレット通過。CLはパワーロープとカラビナを肩から斜めにかけて気合いを入れる。(でもこのロープとカラビナ絶対使わない。意味なし)今日 も天気がいい。唐松岳ピークでご来光。相変わらず剱岳がかっこいい。混んでいる山頂を早めに下り、いよいよキレットへ。唐松から白馬へはキレットを下るこ とになるので特に注意が必要である。二峰あたりが一番高度感があり、怖い。八峰キレットよりこちらの方がこわいだろう。高度感のあるトラバースや下降が多 い。鎖は着いているが、一歩一歩慎重に越える。足をすべらせれば谷底へまっさかさまである。雨などで岩が濡れている時は決して入ってはならない。朝早く出 発したからか、ほとんど人に会わない。二峰を巻いたところに「不帰嶮」の看板があり、そこで一休。唐松頂上から2時間強で一峰のピークに着く。無事抜けてほっとした。この合宿の核心部も終わりだ。

ちなみに、後で聞いた話だが、私たちが通過する2,3日前に不帰キレットで一人滑落死亡者が出ていたらしい。知らずに通っていたが…ぞっとする!生きててよかった!

ここから白馬までが長く、だるい。天狗山荘には「峠の釜飯」ならぬ「稜線の釜飯」があった。「食いてえー!」とヤゴ。「邪念は払って出発じゃー!」とCL。そんな会話を聞いていた一人のおじさんがヤゴに「オレオ」を恵んでくれた!ありがとう…でもなんて恥ずかしいんだ!

鑓 温泉への分岐をこえるといきなり人が増える。白馬鑓ヶ岳は白い砂礫の山できれいだ。でもその分反射がすごくて、ゆきちゃんはばてている。軽い熱射病のよう で、頭痛を訴えていたので、杓子の分岐で休ませ、残りのメンバーで杓子ピークへピストンする。疲れ切って白馬テン場へ。白馬山荘はめっちゃでかい。霧の中 から大きな建物が姿を現したときには絶句してしまった。村営宿舎は愛想が悪くてむかついたが、カツ丼があったので新村&ゆきは耐えきれず、食べる。2週間 ぶりの揚げ物…そして肉!!おいしかったー。

この日、ささいな事からヤゴとゆきちゃんがケンカをした。みんな疲れてきて、精神的に限界になってきているんだな。CLとしても大いに反省させられた一件だった。長い合宿に慣れていない1年生のためにも、上級生が言うべき事は言い、気を使ってあげる必要がある。

8/20(日)晴れのち曇

△―0:40―白馬岳ピークー0:50―分岐―1:20―雪倉岳―2:13―朝日小屋△【5:03

朝 一番で白馬岳ピークへ。ピークには人が腐るほどいてご来光を待っている。百人以上いるだろう…ピーク写真は行列である。こんなに人がいるピークでは…そ う、おたけぶしかないでしょう!最後の百名山だしね。というわけで、人の注目を浴びながら全員おたけび。やっぱ、恥ずかしかった。

天気が良ければ日本海が見えるらしいが、微妙にかすんでいてみえない。代わりに遙か遠くに槍が見えた。あそこを発ったのはもうはるか昔のような気がする。槍が見えるのもこれで本当に最後だろう。槍に別れを告げて…ここから標高はぐっと下がっていく。

雪倉岳のあたりは本当にきれいだ。ずっとマツムシソウのお花畑が続く。お花畑の中にたたずんで立ちシ○ンをする吉田の姿はみょーに笑えた。雪倉岳ピークではゆきちゃんのお楽しみ「くずきり」が登場。ばてながらもここまで持ってきた彼女はすごい。

白 馬水平道の分岐少し手前で休んでいると、なんと!オコジョが現れた。20cmくらいしかなく、ちっこくてめちゃくちゃかわいい!夏だから茶色で、おなかだ けちょっと白い。まさか出会えるなんて思わなかったからちょー感動!そう、新村は大のオコジョ好き。実は上高地でオコジョのぬいぐるみを買い、15日間持 ち歩いていたりして。実物は思ってた以上に小さくてかわいかった。

朝日岳の巻き道はところどころ雪渓が残っており、その上を行く。小さなアップダウンが多くうざい。朝日小屋のテン場は平らでめちゃ快適。夜、遠くに下界の灯が見えた。ゴールは近い。

8/21(月)曇り時々晴

△―1:00―朝日岳―3:02―黒岩山分岐―1:50―北又の水場―0:50―栂海山荘△【6:42

朝、となりのテントの大学生らしい集団が2時くらいから起き出して騒がしかった。そのくせ、彼らは私たちと変わらぬ4時過ぎ出発。一体何してんだか。

朝 日岳の登りでふと振り返ると、遠くに富山湾が!初めて日本海が見えた朝。ちょっと感傷にひたっちゃったりして。五輪尾根との分岐の岩にも「日本海」という 文字がついに現れる。2週間前は夢だった、遠かった親不知が本当になろうとしているのを感じてまたちょっとうるうるした。

し かし、それにしても黒岩平のあたりは歩きにくい道が続き、ほんとにうざい。泥ですべるのでキレる。景色も同じようなもさもさした森が延々と続く。中俣新道 の分岐を越えると、近所の山の稜線歩きっていう風情になる。でも、栂海新道にはなにか、こだわりや温かみを感じる。うざいけど、いい道かもしれない。北又 ノ水場は、直前問い合わせでは結構水があるとのことだったが、実際はちょろちょろ。全員分のダブポリするのに1時間かかった。やはり、栂海新道は水が一番 問題だろう。

栂 海山荘は小さいけれど快適。ここまで来たんだからいいでしょ!ってことで、予備食のチキンライスとマルタイをおやつに食べる。米も多めに炊いてみんな久し ぶりに満腹になったみたい(笑)。最後の食当はリーダー新村が。久しぶりに燃えた!要請により、ここまで持ってきた中田さんのお見送り「深層水」は、味が しなくておいしくなかった…。北又ノ水場の水の方が上です!中田さん。

朝はやくに騒いでいたパーティーは、とろとろ歩いていたので栂海山荘には来ないのかと思っていたら5時過ぎになって到着。外にテントを張っていた。一体何時間行動なのだろう…。

8/22(火)晴れ時々曇り

 1:45―菊石山―1:45―白鳥山―2:50―二本松峠―親不知

早 く親不知に着きたいので、ヘッ電歩きで出発。栂海新道はたしかにできて間もない(それでも30年)道っぽいが、このごろ人が多く入っているせいか、藪で歩 きにくいことなどなく、迷うことも絶対ない。山荘のノートにはさわがに会の小野さんへのお礼の言葉がいっぱい。数十年藪刈りをつづけて新道を開拓するって どんな人生なんだろう。高田は「こんな道作ったやつの気がしれん」ってきれてるけど…。

そ れにしても、標高が下がってきたからか、めちゃ暑く、虫が多い。ハチはブンブン飛んでるし、そこらへんをマムシがガサガサはっている。ただ歩いているだけ で滝のように汗が吹き出す。この汗の量、尋常じゃない。あとで聞くとこの日富山はこの夏一番の真夏日だったそうな。「栂海新道を歩く日じゃないね」ってタ クシーの運ちゃんに言われてしまった。

昨日ダブポリして水はまだあったので、他の水場は素通り。でもシキ割はただの水たまりだったし、ノートによると黄蓮もけっこうやばいらしい。途中、水がなくなってばてまくって黄蓮を目指すおっちゃんに会った。逆コースはさらに水に気をつけなきゃね。

白 鳥小屋はめちゃきれい。ここをこえると道はいよいよ近所の裏山って感じになる。木々の間から日本海の波が見える。それにしても、長い。みんな何も言わな い。ひたすら最後をめざして歩き続ける。猿の大群に会う。車の音が聞こえ始める。ゆきちゃんは疲れて目がいっちゃってるけど、彼女もみんなも止まらない。 ゆっくりふらふら歩き続けて…そしてひょいと国道に飛び出した。海まで走る元気もない。座り込んで医療ポリ「南アルプスの天然水」を飲む。

長い階段を降りたらそこには日本海の荒い波が打ち寄せていた。靴を脱いでそのまま飛び込む。ためらってたゆきちゃんもいきなり飛び込む。汚い服がさらに汚く見える。みんないつまでも波打ち際に座り込んでいた。

ホテル親不知で風呂に入る。親不知駅までの送迎つきで一人1000円。富山に行って反省会。次の日、日本海に別れを告げて、長い帰路を国立へ。でもCL、高田、益満の3人は10日後にまたここに来ることになるんだけどね。こうして15日間に及ぶ夏合宿は無事、終わった。

【リーダーコメント】

私が沢の夏合宿ではなく、アルプス大縦走を夏の舞台に選んだのは2月のことだ。それから早半年、その間には様々な困難や苦しみがあり、今こうして無事に夏合宿を予定通り完遂できたのは、本当に夢のようである。

3 年生が一人であること、SLが2年であること、1年生が3人もいること、吉田の足のケガ…当初は予定していた大キレットをカットしただけでなく、14泊と いう大合宿自体が実現不可能だと思われた時期もあった。リーダーとして、自分の実力不足を何度も悩み、自信を失った。そんなとき、私を支えてくれたのは、 田中さんや水間さんなどの先輩たちの、そして3年生の仲間の励ましだった。

夏 合宿を予定通り完遂させることも私の夢であったが、私には私が1年生の時、田中Pで感じたようなリーダーの、またパーティー全体の気合いというか熱い思い をこの合宿でも感じてほしいというのが一番の願いであった。きびしいことばかり言ってしまったが、この夏合宿にエントリーをしてくれ、最後までがんばった 1年生には心から感謝している。14泊という体験は1年生にとっては初めての、また極限の苦しいものであっただろう。パーティーで一番がんばりやで大きな 成長をみせたゆきちゃん。経験者として1年生をひっぱり、上級生にもいい刺激を与えてくれたヤゴ。我慢強くて、時に天然ぼけでパーティーをなごませてくれ たますー。

そして2年生の高田。ずっと一緒だったから、気楽になんでも相談したり頼んだり出来る、なくてはならない存在だった。いつも笑顔と毒と暴走で楽しませてくれたね。

最 後にこの合宿の一番の功労者、SL吉田。2年生であるがゆえに遭対では突っ込まれ、私も厳しいことを言い、要求した。足のケガのこともあり、本当につらい 思いをさせてしまったと思う。でも、吉田は持ち前のセンス、そして人一倍の努力で大きな成長をし、求めた以上ものを返してくれた。何度もぶつかりあったけ れど、吉田と信頼関係を築くことができたから、吉田が支えてくれたからこそこの夏合宿が成功したのだろうと思う。

私を支えてくれたすべてのみんなに、この場をかりてお礼を言いたい。すばらしい夏を、ほんとうにありがとう。




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